感動をつくる人の原点|Season2 第11話 夢の国への入口

あの日の夕方、東京ディズニーランドへ向かった私は、東京のお父さん、お母さんと一緒に、そのおすすめのショーを観に行きました。
「Swing and Sing」
プラザパビリオン・バンドスタンドという、アメリカ映画に出てくるような白いガゼボ(東屋)のステージ。
18人編成のビッグバンドの生演奏に乗せて、外国人出演者と日本人出演者が一緒になって、1930年代のスウィングジャズを、おしゃれに歌い踊るショーでした。
夕暮れ時には、風を感じながら楽しむ軽やかなショー。
そして、夜空を彩る花火が終わったあとのステージは、ライトアップされたバンドスタンドにビッグバンドの音が響き渡り、また違った表情を見せてくれました。
大人の雰囲気に包まれた、パワフルで上質なエンターテインメント。
「こんなディズニーもあるんだ。」
それまで、ディズニーといえば、ミッキーやミニーたちが活躍するキャラクターショーを思い浮かべていた私には、キャラクターが登場しないこのショーは、とても新鮮な驚きでした。
そして、私が惹かれたのは、そのショーだけではありませんでした。
ワールドバザールから始まり、ファンタジーランド、アドベンチャーランド、ウエスタンランド、トゥモローランド……。
それぞれのエリアには、それぞれの世界観があり、その空間にふさわしい音楽が流れていました。
ミュージシャンによる生演奏あり、
アトラクションがあり、
お店あり、
街並みあり。
そして、子どもも大人も、その世界の中で楽しそうに笑っている。
私には、パーク全体が、一つの大きな舞台のように感じました。
劇場では、幕が上がれば舞台が始まり、幕が下りれば終わります。
けれど、ここでは違いました。
ゲストがパークへ一歩足を踏み入れた瞬間から、すでにエンターテインメントが始まっている。
「面白い。」
舞台というものを、劇場の中だけで考えていた私にとって、その発想はとても新鮮でした。
「いつか、こんな世界で仕事がしてみたい。」
そんな思いが、自然と湧き上がってきました。
もちろん、その頃の私は、自分が演出家になるとは思っていません。
でも、人に教える仕事を始め、舞台を構成し、作品をつくる楽しさを知り始めていた私は、出演するだけではなく、「創る側」として、こんな新しいエンターテインメントの世界に関われたら素敵だろうな、と漠然と考えていました。
そして、ここでも不思議なご縁がつながりました。
思いがけないところで、『アニー』の公演で大変お世話になった懐かしい方と、再びお会いする機会に恵まれたのです。
まさか、こんなところで再会するとは思ってもいませんでした。
ご縁というものは、本当に不思議なものです。
お話をする中で、私は、これまで歩んできたことや、これからやってみたいと思っていることをお話ししました。
舞台に立つこと。
そして、少しずつ興味を持ち始めていた、作品を「創る」ということ。
そんな話をしているうちに、私の前に、また一つ、新しい扉が開いていきました。
それは、私が想像していたものとは、少し違う入口でした。
けれど、その扉の向こうには、それまでの私が知らなかった世界が広がっていました。
新しい人との出会い。
新しい環境。新しい考え方。
そして、その一つひとつの経験が、少しずつ私の中に積み重なっていくことになります。
その時の私は、まだ知りませんでした。
そこで出会う人たちから、これからどれほど多くのことを学んでいくのか。
そして、その学びの一つひとつが、やがて、今の私へとつながっていくことを。
読んでいただき ありがとうございました。
中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)




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