感動をつくる人の原点|Season2 第13話 創るということ

振付師として仕事を始めた頃、私は劇場とはまったく条件の違う場所で、振付をするようになりました。
それまで私が知っていたのは、劇場の舞台です。
劇場には照明があります。
「今、お客様にどこを見てもらうか。」
照明によって、観客の視線を導くことができます。
ところが、太陽の下ではそうはいきません。
とにかく、全部見える。
見せたい出演者だけではなく、次のシーンのために準備している出演者まで見えてしまいます。
では、どうやってお客様の視線を導くのか。
そこで私が学んだのが、人の動きとフォーメーションでした。
見せたい人を動かし、周りを一瞬止める。
動きに強弱をつける。
フォーメーションを変化させながら、自然と見せたい場所へ視線を導いていく。
そして、もう一つ気づいたことがありました。
太陽の下でも成立するように創ったステージは、夜になって照明が加わると、さらに魅力的になる。
この考え方は、今でも私の中に残っています。
照明を十分に使える場所であっても、
「もし照明がなくても、このフォーメーションだけで成立するだろうか。」
そう考えます。
振付は、ステップを創ることだけではありません。
お客様に、何を、いつ、どこを見てもらうのか。
それを考えることも、振付の大切な仕事なのだと思います。
駆け出しの頃、リハーサルに入る前に、自分で作ったフォーメーションシートを演出家に見せながら、振付のプランを説明していた時期がありました。
「この音で、全員が移動を始めます。」
「この音までに、このフォーメーションになります。」
「ここで、全員がユニゾンで踊ります。」
当時の私は、演出家に自分のプランを説明しているつもりでした。
でも今振り返ると、あの時間には、もう一つ意味があったように思います。
人に説明することで、自分自身の頭の中も整理していた。
「なぜ、ここで動くのか。」
「なぜ、この形なのか。」
人に説明しようとすると、自分の中で曖昧だったところが見えてきます。
そして、もう一度フォーメーションシートを見直す。
創っている最中は、どうしてもその中に入り込みます。
ステップにも、音にもこだわる。
だからこそ、ときには一度そこから離れて、自分が創ったものを見てみる。
客席から見るように、自分の作品を見る。
夢中になって創ること。
そして、一歩離れて見ること。
その両方を行ったり来たりしながら、作品は少しずつ磨かれていくのだと思います。
読んでいただきありがとうございます。
中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)




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