top of page

感動をつくる人の原点|Season2 第17話白黒の世界に、色が生まれた瞬間

8月29日
読了時間: 3分


前日に続いて、『ワン・マンズ・ドリーム』のお話です。


今回は少し趣向を変えて、

あの30分から何を感じ、何を学んだのか。質問に答える形で振り返ってみたいと思います。

1988年。

東京ディズニーランドで、このショーを初めて観た時のことです。



――最初に驚いたのは、何でしたか?


幕です。


それまで、劇場の緞帳とは、劇場ごとの顔のような存在があり、厚い素材に刺繍が施されていたり、色にも品格があったりと、私にとっての緞帳というものは、とても重厚な存在でした。


ミュージカルのOvertureが流れている時も、緞帳はそこに静かに存在している。


そんなイメージを持っていました。


ところが、『ワン・マンズ・ドリーム』では違いました。


テーマ音楽が始まると、舞台を閉じていた幕に描かれたお城が、光によってマジカルに輝き始めます。


まだ幕は開いていない。

でも、

もう何かが始まっている。


私は、その時点ですでにワクワクしていました。



――そして、幕が開くと?


そこに現れたのは、

モノトーンの世界でした。


セットも、そこに登場したミッキーもミニーも白黒。


そこでミッキーが、小さな花束を取り出します。


その花だけには、色がありました。


ミッキーが、その花をミニーへ贈る。


すると――

モノトーンだった世界に、色が生まれます。


七色の虹が輝き、舞台がカラーへと変わり、ミッキーもミニーもカラーの世界へ。


モノトーンだった世界が、一瞬にして鮮やかな世界へ変わっていきました。



――そこから、さらに世界が広がっていく?


そうなんです。

そこへ登場するダンサーたちの衣装も、とても印象的でした。


男性ダンサーは、ミッキーを思わせる赤いパンツに、黄色の蝶ネクタイとサスペンダー。


女性ダンサーは、ミニーを思わせる赤と白の水玉模様のミニドレスに、黄色のリボンがついたヒール。


ミッキーとミニーから生まれた色が、ダンサーたちへ、そして舞台全体へと広がっていくようでした。


さらに、たくさんのディズニーキャラクターたちも加わります。


幕が開いた時にはモノトーンだった舞台が、

色を持ち、

人が増え、

どんどん華やかな世界へ広がっていく。


私は夢中になって、その世界が開いていく様子を観ていました。



――今、演出家として振り返ると、あのオープニングから何を感じますか?


最初から、すべてを見せていないことです。

幕に描かれたお城が輝く。

幕が開くと、モノトーンの世界が現れる。

そこに一つだけ、色のある花が生まれる。

そして、その色が舞台全体へ広がっていく。


少しずつ、少しずつ、観客の期待を膨らませていく。

当時の私はもちろん、

「これは、こういう演出なんだ。」

などと分析していたわけではありません。


ただ、

「次は何が起こるんだろう。」


そう思いながら、どんどんその世界へ引き込まれていったのです。


そして後になって、自分が作品を創るようになってから気づきました。

ショーの最初の数分には、


観客をその世界へ連れていく、大きな力がある。


最初からすべてを見せなくてもいい。

一つずつ扉を開くように、

期待を積み重ねながら、世界を広げていく。


そういう演出のテクニックが、感動を生むのだと。


1988年に観た、

『ワン・マンズ・ドリーム』。

あのオープニングナンバーは、

私の演出の原点の一つになっています。




読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama

 
 
 

コメント


© 2009 by AMJ-Enterspace  Inc. All Rights Reserved.

当サイト内の画像、文章などの無断使用は一切できません。

本網站的所有圖片、文章的版權帰 A.M.J Enterspace Inc.所有、未經許可禁止拷貝或使用

bottom of page