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感動をつくる人の原点|Season2 第18話 30分に詰まっていたもの

8月30日
読了時間: 4分


 

前日に続いて、『ワン・マンズ・ドリーム』のお話です。

今回も、

あの30分から何を感じ、何を学んだのか。質問に答える形で振り返ってみたいと思います。

1988年。

初めてこのショーを観た時、私は30分という上演時間にも驚きました。



――ショーの上演時間が30分と聞いて、どう感じましたか?


「短い。」

そう思いました。


それまで私が出演してきた宝塚のレビューショーは、短いものでも45分ほど。


私にとって30分という時間は、

「たった30分しか上演しないの?」

と、とても短く感じるものでした。


ところが、ショーを観終わった時の感覚は、まったく違いました。


一言で言うなら、

「お腹いっぱい。」

それなのに、

「もう一度観たい。」


満腹なのに、また食べたい。(笑)

不思議な感覚でした。



――その30分の中には、何があったのでしょう?


本当に、いろいろな世界がありました。


オープニングでは、モノトーンだった世界が鮮やかなカラーへと変わっていく。


『不思議の国のアリス』では、バレエのテクニックをふんだんに取り入れた、アリスの美しいソロダンス。


猫や犬に扮したダンサーたちの、テクニカルなダンス。


『ジャングル・ブック』では、たくさんのモンキーたちが登場する楽しいシーン。


そして『ピーター・パン』では、海賊たちとのアクションから、ピーターパンとウェンディが空へ舞い上がるフライングへ。


そこから、空気は一変します。


プリンセスとプリンスたちが登場し、舞台はロマンティックな世界へ。

白雪姫。オーロラ姫。そして、シンデレラ。


やがて舞台は、優雅なボールルームへと広がっていきます。

ロマンティックで、美しい世界。


ところが、その余韻に浸っていると――

今度は、笑いがやってきます。


ドナルド扮する、『白鳥の湖』の4羽の白鳥。

グーフィー扮する、マタドール。

ミッキー扮する、ハムレット。

美しい。

楽しい。

ハラハラする。

ロマンティック。

そして、笑う。

一つの感情に慣れる前に、次の世界がやってくるのです。



――だから、30分なのに短く感じなかった?


そうなのだと思います。

そして最後は、ハリウッド。


レッドカーペットに、スターとしてディズニーキャラクターたちが次々と登場し、舞台は一気に華やかなショーの世界へ。


そこからフィナーレへ向かって、エネルギーがどんどん大きくなっていきます。


振り返ってみると、30分の中に詰め込まれていたのは、

たくさんの「場面」だけではありませんでした。


たくさんの「感情」だったのだと思います。


次は何が起こるんだろう。


笑ったり。

驚いたり。

うっとりしたり。

ワクワクしたり。


30分とは思えないほど、たくさんの感情を味わっている。


なのに、時間はあっという間に過ぎていきました。


気がつけば、

「もう終わっちゃった。」


そして、

「もう一度観たい。」




――その感覚は、その後のショーづくりにもつながりましたか?


つながっていると思います。

その後、私自身も30分ほどの作品を数多く創るようになりました。


その時に考えていたのは、

「何曲入れるか。」

「何場面つくるか。」

だけではありません。


お客様の気持ちを、30分間どう動かしていくのか。


楽しい場面が続くだけでは、やがてその「楽しい」にも慣れてしまう。


美しい場面が続くだけでも同じです。


違う色を入れる。


違うテンポを入れる。


そして、

違う感情を入れる。


そうすることで、一つひとつのシーンが、より鮮やかに見えてくる。


1988年。

客席でただ夢中になって観ていた、あの30分。


あの時は、

「お腹いっぱい。でも、また観たい。」

としか思っていませんでした。


でも今、振り返ってみるとわかります。


あの30分に詰まっていたもの。


それは、

たくさんの場面ではなく、

観客の心を何度も動かす、たくさんの感情だったのだと思います。


そして、それもまた、

後の私のショーづくりにつながっていった、大切な原点の一つです。



読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama

 
 
 

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