感動をつくる人の原点|Season2 第4話 夢の扉が開いた日
- 7月31日
- 読了時間: 3分

翌日。
宝塚音楽学校の合格発表の日がやってきました。
当時は、 今のようにインターネットで結果を見る時代ではありません。
音楽学校の入口に、 合格者の番号が貼り出されます。
不思議なことに、 自分の番号を見つけた瞬間のことは、 あまり覚えていません。
でも、 あの日、 音楽学校の門の前に広がっていた景色だけは、 今でも忘れることができません。
合格して涙を流す人。
悔しくて涙を流す人。
その隣で、 一緒に泣いているご家族。
夢が叶った涙。
夢が届かなかった涙。
15歳の私は、 人生で初めて、 そんな光景を目の前で見ました。
夢には、 笑顔だけではなく、 涙もある。
そんなことを、 あの日初めて知ったような気がします。
私も、 声楽の先生の教室で一緒に頑張ってきた仲間たちと集まりました。
先生のもとから受験したのは、 七人ほど。 そのうち六人が合格しました。
今思い返しても、 本当にすごい合格率だったと思います。
そして私は、 お世話になった一つ上の先輩の制服の胸で、 泣いていたことだけは覚えています。
嬉しかったからなのか。
安心したからなのか。
もらい泣きだったのか。
もう理由は覚えていません。
でも、 あの先輩の制服の温もりだけは、 今でも何となく覚えています。
合格発表が終わると、 そのまま入学手続きや制服の採寸が始まりました。
昨日まで受験生だった私が、 今日はもう、 音楽学校の新入生です。
夢が、 少しずつ現実へと変わっていく。
そんな一日でした。
そして、 制服。
あの制服を着られることが、 本当に嬉しかった。
「これで私も音楽学校の生徒なんだ。」 そう思うだけで、 胸がいっぱいでした。
もちろん、 その時の私は知る由もありません。
その可愛い制服には、 着こなしにも厳しい決まりがあること。
一年後、 本科生になれば、 スカート丈も短くしたり、 ヒールも履けるようになったり、 髪型も自由にできること。
でも、
その前に待っている予科生の一年が、 想像以上に厳しい毎日になることも。
そして、
毎日渡ることになる 宝塚大橋が、 本当に「地獄橋」と呼ばれていることも。(笑)
15歳の私にとって、 合格は、 ゴールではありませんでした。
本当のスタートだったのです。
でも、
その時の私は、 そのスタートラインの向こう側で待っている日々を、 まだ何一つ知りませんでした。
ただ、 可愛い制服を着られることが嬉しくて、 夢が叶ったことが嬉しくて、 これから始まる毎日が楽しみで仕方ありませんでした。
あの日。 私の人生で、最初の扉が開きました。
その扉の向こうに待っていたのは、 夢に見ていた世界。
そして同時に、
15歳の私にはまだ想像もできなかった、 たくさんの学びと試練の日々でした。 読んでくださってありがとうございます。
中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)




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