感動をつくる人たち|第10話 主役ではない人が、舞台を支えている
- 1 日前
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舞台が始まれば、客席の視線は自然と主役へ集まります。
スポットライトを浴び、拍手を受け、物語の中心に立つ人たち。
それは、とても美しい瞬間です。
けれど私は、その輝きの奥にいる人たちに、いつも感謝しています。
たとえば、舞台袖で行われる “早替わり”
出演者がステージを降りてきた瞬間、次の衣装は準備されていて、
数十秒のうちに着替えを終わらせ、次の出番へ送り出す。
そこでは、言葉より先に手が動きます。
衣装を外し、整え、靴を履かせ、飾りを直し、呼吸を整える。
もしファスナーが壊れて脱げなくなったら――衣装スタッフは迷いません。
衣装を破ってでも、次の出番に間に合わせる。
それほどまでに、舞台を止めない覚悟で立っています。
早替わりは、出演者にとっても独特の緊張があります。
私自身、早替わりの多いレビューショーに出演していた頃、
ステージの上で踊っている時の方が、ほっとしていたことがありました。
それほど、舞台袖の数十秒には濃い緊張感があります。
元出演者の中には、引退したあとでも、
「早替わりに間に合わず、出遅れした夢を見る」
そんな話を耳にすることさえあります。
けれど、その緊張の時間を支えてくれる人たちがいるから、
出演者は安心して舞台へ戻ることができます。
そしてスタッフたちは、出演者より早く現場に入り、
安全確認をし、道具を整え、衣装を並べ、今日の本番に備えています。
観客には見えない場所で、誰より早く舞台を始め、
誰より遅く舞台を終える人たちです。
もしかすると、こうした舞台裏の仕事に興味を持つ方もいるかもしれません。
表には見えなくても、人の心を動かす大切な役割が、そこにはあります。
舞台が成功した時、拍手は主役へ送られます。
それでいいのだと思います。
けれど、その拍手の奥には、
名前の出ないたくさんの仕事があります。
主役ではない人が、舞台を支えている。
そのことを知るだけで、
見えている景色の奥にも、たくさんの想いがあることに気づかされます。
舞台の見方が、少し変わるかもしれませんね。
中間裕子(Y.Ai.Nakama)




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