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感動をつくる人たち|第33話 脳内リハーサル室
最近、ダンススタジオの先生方からよく耳にする話があります。 「最近の子たちは、先生が求めている形をその場でコピーできない」 もちろん、今はスマホの時代です。 レッスンの様子を動画に撮り、後から見返して練習できる。 それ自体はとても便利なことです。 けれど、プロの現場では「後で動画を見て覚えます」が通用しない瞬間があります。 例えばオーディション。 短い時間で振り付けが入り、その数分後には音楽に合わせて踊らなければなりません。 そこで求められるのは、“その瞬間に、身体と脳へ焼き付ける力”です。 振付師の形を、一瞬でコピーできること。 手の角度、顔の向き、視線、重心、呼吸、そして音の取り方。 本当に伸びる人は、ただ動きを追うのではなく、先生の身体の中にある「感覚」までをも吸収しようとしています。 実は私自身、現役時代にこの“焼き付ける力”を鍛えるためのイメージトレーニングを編み出しました。 それは、夜、ベッドに横たわり、部屋の明かりをすべて消して無音にすることから始まります。 目を閉じ、頭の中に、練習したいシーンの音楽を流す。 次に、その音楽に
12 分前


感動をつくる人たち|第32話 鳥肌が立つまで、終われない
— エンターテイメントに“正解”はない — エンターテイメントの世界には、 「これが絶対の正解です」というものが、ほとんどありません。 演出も、振付も、音楽も、照明も。 どれだけ経験を積んでも、最後まで迷うことがあります。 むしろ、本気で作品をつくればつくるほど、簡単には決められなくなる。 実は、私の作品づくりの現場では、こんな会話がよく飛び交っています。 「どっちが好き?」 「どっちが気持ちいい?」 もちろん、構成や理論、テンポや展開、技術的な裏付けも大切です。 けれど最後は、理屈では説明できない“ 感覚 ”が、作品の方向を決める瞬間があります。 以前、あるクリスマスショーの音楽制作を、アメリカ・LAのスタジオで行っていた時のことです。 楽曲は、♪ Have Yourself a Merry Little Christmas 演出の構想はこうでした。 最初はカップルが優雅にペアダンスを踊り、途中から、ステージ上のアイススケートリンクへ移動。そこからダイナミックなフィギュアスケートのペア演技へと切り替わっていく。 私は、その切り替わりの瞬間を、最
24 時間前


感動をつくる人たち|第31話 ゲネプロで演出家が見ているのは、“ 舞台 ”ではなく“ 空気 ”
舞台やショーの世界には、「ゲネプロ」と呼ばれる時間があります。 衣装、照明、音響、そして客席案内まで。すべてを本番通りに行う最終リハーサルです。 時には関係者やお客様に客席へ入っていただくこともあります。 それは、本番と同じ環境で「会場の呼吸」を感じるためです。 演出家である私は、この時間を客席の中央で過ごすことが多くあります。 なぜ、モニター席ではなくあえて客席に座るのか。 それは舞台そのものを観るためというより、そこに流れる “ 空気 ” を感じるためなのです。 「間」という目に見えない主役 出演者の動きや照明のタイミングを確認するだけなら、後方のモニター席でも事足ります。 けれど、お客様が入った瞬間に会場を包み込む「独特の呼吸」だけは、客席のど真ん中に座らなければ分かりません。 たとえば、稽古場では完璧だと思っていたシーンの繋ぎが、お客様の前では妙に長く感じたり、逆に短すぎたりすることがあります。 ある時のこと。予想以上に長い拍手が沸き起こったシーンがありました。 もし、予定通りに次へ進めていたら、お客様が浸っていたはずの余韻を、無理やり断
2 日前


感動をつくる人たち|第30話 観客と共に織りなすエンターテイメント
フルオーケストラの演奏とともにお届けしていた、クラシックで上質なスペシャルショー。 毎年、バレンタインシーズンになると、私たちは少し特別な企画を用意していました。 それは、事前にお客様から募った大切な人へのメッセージを、ショーの中で紹介するコーナーでした。 「いつもありがとう」 「これからもよろしくね」 「今日、この場所で伝えたいことがあります」 家族へ、友人へ、そして恋人へ。 普段は照れくさくて言えない想いが、美しい音楽とともにステージから会場全体へと紡がれていきます。 時には、人生を賭けたプロポーズのメッセージもありました。 不思議なことに、会場には、冷やかすような空気は一切ありません。 むしろ、見ず知らずの誰かの幸せを、会場にいる全員が心から応援している。 そんな、言葉にできないほど温かな幸せな空気に包まれていました。 拍手が起きるたびに、私は確信していました。 「今、ステージの上だけではなく、客席の皆さんも一緒にこのショーを創り上げているんだ」と。 こうした情緒的な、「ゲスト参加」(Audience participation)もあれば
3 日前


感動をつくる人たち|第29話 スターは、舞台全体で作られている
—宝塚レビューの美学:時代を超えて愛される『スター』の正体 — 私が宝塚のレビューに魅せられた理由。 それは「スター」という理屈を超えた圧倒的な存在にあります。 単に歌が上手い、華がある。そんな言葉だけでは説明しきれない何かが、そこには宿っています。 私が初めて鳳蘭さん(ツレちゃん)の舞台を観たのは、1972年、星組公演『アラベスク』でした。 まだ子どもだった私は、もちろんレビューの構造も、舞台演出の意味も分かっていません。 それでも、舞台の中央に立つその姿から、どうしても目が離せませんでした。 「スターって、こういう人のことを言うんだ」 幼心に、魂を射抜かれたような感覚。 そして後に、私は星組の組子となり、同じ舞台に立たせていただく光栄に預かりました。 舞台袖でも、稽古場でも、そして劇場の空気感そのものの中に、ツレちゃんという特別な光は常に存在していました。 完璧に計算された「ピラミッドの美学」 宝塚のレビューの世界には、スターを輝かせるための完璧な演出が存在します。 ・一糸乱れぬ群舞とフォーメーション。 ・心昂らせる音楽と、ドラマティックな
4 日前


感動をつくる人たち|第28話 “ はじめまして ”だった人たちが、チームになるまで
エンターテイメントの現場では、毎回、同じメンバーが集まるとは限りません。 長年一緒に作品をつくってきた仲間だけの現場もあれば、「はじめまして」の人たちが多く集まる現場もあります。 リハーサル初日、顔寄せの日。 この日は、リハーサルホールの中に独特の緊張感が漂っています。 もちろん、出演者側だった頃の私にとっても、顔寄せは特別な時間でした。 プロデューサーや制作スタッフが全員揃うリハーサルホール。 演出家が語る作品説明をワクワクしながら聞き、先輩や先生方との、少し緊張感のある距離感も好きでした。 台本の読み合わせがあったり、テーマソングの歌稽古があったり、衣装合わせがあったり。 共演者やスタッフのことを、少しずつ探りながら見ていた気がします。 きっと、みんなも同じように感じていたのだと思います。 最初は、苗字で呼び合うことが多い現場も、リハーサルが進むにつれて、少しずつ空気が変わっていきます。 振付を教え合ったり、 ハーモニーを確認し合ったり、 立ち位置を確認し合ったり、 誰かの忘れ物をフォローしたり・・・。 リハーサルのあとに、みんなで食事へ行く
5 日前


感動をつくる人たち|第27話 挑戦したくなる現場には、理由がある
— なぜ“ 修羅場 ”でも、チームは前に進めるのか — 先月の4月11日、ふと思い立って、ずっと手をつけられずにいたブログを書き始めました。 きっかけは、『沸騰ワード10』で観た宝塚の密着ドキュメンタリー。 久しぶりに書いた記事のタイトルは、「夢の扉に向かう、かけがえのない時間」。 その一瞬一瞬に、どんな想いが込められているのか——そんなことを綴りました。 そこから、A.M.Jの制作スタッフメンバーに背中を押されて、どこまで続くかも分からないまま書き始め、気がつけば、「感動をつくる人たち」というテーマが生まれ、序章を経て、第1話から積み重ねてきて……今回で、第27話になりました。 今日で ちょうど、1ヶ月。 続けてこられたのは、支えてくれている仲間たちと、読んでくださっている皆さまのおかげです。 本当に、ありがとうございます。 そして、そんな日々を振り返ってみると—— もしかしたら、私が現場に入ってからのリハーサル中に“ 修羅場 ”をつくっているのかもしれません(笑) ダンサーに、「この振り付け、いろんな方向を向いて踊ってみようか」...
6 日前


感動をつくる人たち|第26話 続いている現場には、理由がある
私は、ロングラン公演に関わる機会が、これまでに何度かありました。 ロングラン公演とは、長い年月、同じ作品が上演され続けるということ。 それは、とても特別なことのように思われるかもしれません。 実際、よくこんな言葉をかけていただきました。 「このショーは、古さを感じないね」 「お客様満足度が、ずっと変わらないのが不思議だね」 とても嬉しい言葉でした。 けれど、つくっている側の感覚としては、何か特別なことをしている、という実感はあまりありませんでした。 むしろ、日々やっていることは、とても地道で、派手さのない積み重ねばかりです。 それでも、ひとつだけ言えることがあります。 長く続いている現場には、やはり“ 理由 ”がある、ということです。 ロングラン作品には、いくつかの共通点があります。 まずひとつは、「古くならない設計」がされていること。 流行に寄せすぎないこと。 その代わりに、人が本能的に心地よいと感じるリズムや、時代が変わっても揺らがないテーマを大切にしていること。 だから、時間が経っても色褪せない。 例えば、世界中で長く上演され続けている『ラ
7 日前


感動をつくる人たち|第25話 人は、任されたときに輝きはじめる
ミュージカルやテーマパークなど、ロングランの現場では、出演者の中から「ラインキャプテン」や「ダンスキャプテン」を任命することがあります。 舞台上でのまとめ役でありながら、舞台監督と出演者をつなぐパイプ役でもあります。 現場の空気を読み、時には間に立って、問題を整理し、解決に向けていく。 だからこそ、技量だけではなく、人としての信頼や信用を得ている人に任命します。 ある年、新しいメンバーが加わり、カンパニー全体が少しずつ変わっていくタイミングがありました。 それまでラインキャプテンを務めていた出演者が退演し、新たにその役割を担う人を決める必要がありました。 候補となるメンバーは何人かいました。 ダンスの技量もあり、人間関係も安定している。 順当にいけば、その中から選ぶのが自然だったと思います。 でも、ひとりだけ、少し気になる存在がいました。 技量はある。周囲との関係も悪くない。 けれど、遅刻があったり、どこかルーズな一面が見える出演者。 ラインキャプテンとして考えるには、少し不安が残る存在でもありました。 その彼に、声をかけました。...
5月9日


感動をつくる人たち|第24話 その一言が、人生を変えることがある
— キャスティングが生む、もう一つの物語 — 舞台袖。 わずかに暗い空間で、出番を待つ時間。 ステージからは、やわらかな光と、お客様のざわめきが、かすかに届いてきます。 その場所で、誰かの言葉を届ける役を任される。 それは、踊ることとはまったく違う、もう一つの“勇気”が必要な仕事です。 あるショーで、お客様から寄せられたメッセージを紹介するコーナーがありました。 友人への感謝、 親から子へ、 子から親へ。 時には、プロポーズの言葉も。 その大切な言葉を、出演しているダンサーの中から選ばれた人が、ステージで届けます。 でも—— ダンサーにとって、“声を出す”ということは、想像以上に高いハードルだったりするのです。 ダンサーは、身体で表現するプロです。 だからこそ、言葉で想いを伝えることに、苦手意識を持つ人も少なくありません。 実際、オーディションの場でも、緊張で声が震えたり、うまく言葉が出てこなかったりすることもあります。 それでも、その役は毎年、オーディションによって選ばれていきます。 ここで大切にしているのは、「上手に話せる人」を選ぶことではあ
5月8日


感動をつくる人たち|第23話 その人でなければならない理由
目に見えない“何か”が、最後の一歩を決める。 「オーディションでは、いちばん上手い人が選ばれる」 そう思われていることが多いかもしれません。 でも現場では、少し違う視点で人を見ています。 “ うまいかどうか ”だけでは、決まらない瞬間があるからです。 もちろん、技術はとても大切です。一定のレベルに達していなければ、作品として成立しません。 けれど実際の現場には、同じように上手い人が、何人も並ぶことがあります。 その中で最後に残るのは、「いちばん上手い人」とは限らないのです。 以前、ポリネシアンダンサーのオーディションを行ったことがあります。 フラとタヒチアン、両方を踊れるダンサーを探していました。 すでに決まっていたメンバーは、ハワイから来日したダンサーたち。 そこに、日本人ダンサーを1名加えることになり、国内のハラウに声をかけて、オーディションを行いました。 技術もしっかりしていて、スタイルも美しい方は、何人もいました。 その中で、ひとりだけ。空気を変えるダンサーがいました。 フラは、手の動きで想いを伝える踊りとも言われます。...
5月7日


感動をつくる人たち|第22話誰に届けたいのかを、考え続ける
第21話では、なぜこの仕事をやめられないのか、という「内側の理由 」について書きました。 では、その感動を、誰に届けたいのか。 この問いには、いつもはっきりとした答えがあるわけではありません。 けれど、作品をつくるたびに、必ずどこかで考えていることでもあります。 子供向けのショーであっても、 いわゆる“ 子供だまし ”のようなものにはしたくない。 大人向けの作品であっても、どこかに、子供でも楽しめる余白を残しておきたい。 大人も、童心に戻れる。 子供も、ちゃんと“ 本物 ”に触れられる。 そんな時間をつくれたらいいと、いつも思っています。 子供の頃、テーマパークで何気なく耳にしていた音楽が、後になって「あれはラグタイムだったんだ」と気づいたり、カントリーウエスタンやラテンのリズムが流れていたことを知る瞬間があります。 そのとき一緒に、あの場所の空気ごと、ふっとよみがえることはありませんか。 子供の頃は、それを特別な音楽だとも意識せずに、ただ空気のように聞き流していたのかもしれません。 けれど、その時間の中にあった楽しさや高揚感は、どこかに静かに
5月6日


感動をつくる人たち|第21話それでも、納得するまでつくり続ける— エンターテイメントという魔法 —
この仕事は、華やかに見えるかもしれません。 でも実際は、何もないところから、何かを生み出し続ける仕事です。 アイデアが浮かばない時間。 答えが見えないまま、探し続ける時間。 正直、しんどいなと思う瞬間もあります。 それは体力でも、人間関係でもなく、 “ 何も生まれない時間 ”の苦しさです。 どれだけ考えても、前に進んでいる気がしない。 時間だけが過ぎていく。 それでも、どこかで思っている。 「他に、なにかあるはず。もっと、もっと、このシーンに合う何かが。」 答えが見えないままでも、探すことだけは、やめない。 納得できないと、前に進めないのです。 何かが違うと感じたまま、形にしてしまうことが、どうしてもできない。 しつこいと言われれば、その通りかもしれません。 でも、その“ しつこさ ”が、最後のひとつを見つけるまで、考え続ける力になっているのだと思います。 ときには、考えすぎて動けなくなることもあります。 まるで、散歩の途中で立ち止まって、どうしても行きたい方向がある犬のように。 動かなくなってしまうけれど、頭の中では、ちゃんと分かっている。..
5月5日


感動をつくる人たち|第20話拍手の届かない場所で、舞台は完成する
本番直前の、あの独特の空気。 ステージ上では、出演者が最後の確認をしている。 音響はきっかけを頭の中でなぞり、照明はわずかな明かりの角度を調整している。 そのすべてが、静かに、でも確実に動いている。 けれど、その光景の中に「名前」はほとんど存在しない。 誰がそれを整えたのか、誰がそのズレに気づいたのか、誰が何も言わずに支えたのか。 観客がそれを知ることは、ほとんどない。 ある現場でのこと。 リハーサル中、ほんのわずかな違和感があった。 言葉にするほどではない、でも確かに引っかかる感覚。 そのとき、ひとりのスタッフが、何も言わずに位置をわずかに調整した。 ほんの数十センチ。光の当たり方が変わり、空気が、すっと整った。 誰も大きく反応はしない。でも、確実に“良くなった”のが分かる。 そういう仕事が、現場にはある。 舞台は、目に見えるものだけでできているわけではない。 むしろ、見えないところで行われている判断や、小さな調整や、言葉にならない気づきの積み重ねが、作品の質を静かに引き上げている。 出演者が輝けるのは、その裏側で支えている人たちがいるから。.
5月4日


感動をつくる人たち|第19話「正確さ」だけでは、心は動かない
舞台から、少しずつ“呼吸”が消えているように感じることがあります。 たとえば、幕の開け閉めひとつをとっても、そこには大きな違いがあります。 かつては、綱元の方が舞台の流れを感じ取り、音楽や空気、出演者の気配に合わせて、タイミングを見計らいながら幕を動かしていました。 ほんのわずかな“間”。 言葉にはならない、その一瞬の判断。 それによって、舞台の空気は生き物のように動いていました。 けれど最近では、音楽やシステムに組み込まれたCUE(キュー)や、SMPTE(シンプティ)と呼ばれるタイムコードによって、すべてが正確に制御されることも増えてきています。 決められたタイミングで、ズレることなく進んでいく舞台。 それは一見、とても合理的で、完成されたもののように見えます。 けれど、ふと感じるのです。 どこか、温度が足りない。 すべてが整っているはずなのに、なぜか心に残らない。 その理由は、とてもシンプルかもしれません。 舞台から、「人の呼吸」が少しずつ減っているから。 もちろん、技術の進化そのものを否定したいわけではありません。 正確さは、安全を守り、
5月3日


感動をつくる人たち|第18話ただ踊るだけじゃない、私が作りたいショー。
ショーには、いろいろな形があります。 歌で魅せるもの。 ダンスで盛り上げるもの。 けれど私は、そこに“物語”があるショーを創りたくなります。 そして、ひとつのジャンルだけにこだわらず、さまざまな表現が出会う作品に惹かれます。。 バレエ、ジャズ、モダンダンス。 新体操、ソシアルダンス、タップダンス。 ヒップホップ、アクロバット、エアリアル。 時には、水中パフォーマンスまで。 本来なら別々の世界にあるものたちが、ひとつの物語の中で交わった時、思いがけない感動が生まれることがあります。 たとえば、海の上で新年を迎えようとした恋人たちが、嵐に巻き込まれ、海底のカウントダウンパーティーへ迷い込むショー。 海の妖精たちは水中で舞い、 地上では情熱的なダンスが広がり、 上空にはエアリアルが広がる。 海・陸・空がひとつになる、そんな作品でした。 またある作品は、少女がアイスクリームの世界へ迷い込み、フレーバーごとに違う音楽とダンスに出会うミュージカルも作りました。 甘く華やかな世界の奥に、家族の愛情や、小さな幸せの大切さを込めた物語です。 私にとってショーとは、
5月2日


感動をつくる人たち|第17話 削ってはいけない予算がある
ショーやイベントの打ち合わせをしていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。 「もう少し予算を抑えられませんか?」 もちろん、それはとても自然なことです。 限られた予算の中で、より良いものをつくりたい。誰もがそう考えます。 私たち制作側も、できる限り工夫します。 演出内容を見直したり、 構成を調整したり、 別の方法を考えたり。 衣装や大道具・小道具のデザインを工夫したり、 素材や仕様を見直したり。 ときには、照明や演出の力で、より魅力的に見せる方法を考えることもあります。 限られた条件の中で、最大限の満足を目指すのも仕事のひとつです。 けれど、現場には削ってはいけない”予算”と”準備”があります。 それは、派手な演出や目立つ装飾とは限りません。 安全確認のための人員。 進行を支えるスタッフ。 事前の打ち合わせ。 リハーサルの時間。 音響や照明の確認作業。 トラブルを防ぐための準備。 お客様の目には見えにくい部分かもしれません。 でも、本番が何事もなく進み、皆さまに心から楽しんでいただけるのは、そうした見えない積み重ねがあるからです。..
5月1日


感動をつくる人たち|第16話限られた時間で、何を優先するか
リハーサルの現場で、最後の最後に足りなくなるもの。 それは才能でも、気合いでもなく、時間です。 どれだけ準備しても、最後には優先順位を決めなければなりません。 そんな現場で、大切な役割を担っているのが、舞台監督チームの存在です。 その中には、搬入から設営、リハーサル、そして本番まで、全体の時間管理を担うスタッフがいます。 ここでは分かりやすく、その役割を「タイムキーパー」と呼びたいと思います。 テレビ番組などで秒単位の進行を見る役割とは少し違い、イベントやショーの現場での、一日の流れそのものを管理する仕事の役割のことです。 搬入開始の時間。舞台・音響・照明・映像・特殊効果・衣装・楽器 それぞれの仕込み時間。出演者入り、サウンドチェック、場当たり、通し稽古、ドレスリハーサル。そして、絶対に動かすことのできない本番の開演時間。 そのすべてを見ながら、現場を前へ進めていきます。 この役割を担う人は、ショーの内容を深く理解していなければ務まりません。 どのシーンに時間をかけるべきか。どこは調整が可能で、どこは絶対に削れないのか。時間が足りないからと、安易
4月30日


感動をつくる人たち|第15話 一流の現場ほど、声を荒げる人がいない
舞台やイベントの現場というと、慌ただしく、大きな声が飛び交う世界を想像される方もいるかもしれません。 けれど、私が長年感じてきたことがあります。 本当にうまくいく現場ほど、不思議なくらい穏やかです。 誰かが怒鳴ることもなく、必要以上に慌てる人もいない。 その代わり、みんなが静かに、自分の役割をきちんと果たしています。 次に何が必要かを考え、先を読みながら動く人。 確認が必要なことは、きちんと質問し、共有する人。 誰かに言われる前に、今できることを見つけて動く人。 そんな一人ひとりの積み重ねが、現場の空気を整えていきます。 穏やかな現場とは、緩い現場ではありません。 むしろその逆です。 それぞれが責任を持ち、集中し、信頼し合っているからこそ、無駄な緊張や混乱が生まれないのです。 A.M.Jの現場も、いつも穏やかです。 それは、支えてくれる仲間たちが、自分の仕事に誇りを持ち、周りを見ながら動いてくれているからだと思います。 華やかな舞台の裏側には、声を荒げる必要のない、本当のプロたちがいます。 私はそんな仲間たちに、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
4月29日


感動をつくる人たち|第14話 振付は、出演者を輝かせるためにある
振付師というと、 ダンスを作る人、ステップを考える人。 そんなイメージを持たれる方も多いかもしれません。 もちろん、それが最大の使命です。 けれど、現場で求められる役割は、実はそれだけではありません。 楽曲を魅力的に見せる振り付け。 物語の登場人物に命を吹き込む振り付け。 イベントやショーの中で、会場全体の空気を動かす振り付け。 振付師という仕事も、現場によって求められる力は、大きく変わります。 私たちA.M.Jチームの現場では、企画段階から振付師が関わることも少なくありません。 テーマは何か。 どんな音楽で魅せるのか。 どんな客層なのか。 出演者の人数はどうするか。 衣装のデザインをどうするか。 髪型はどうするか。 小道具はどうするか。 どんな感動を届けたいのか。 そんな制作の入口から参加し、まだ形のない作品を、少しずつ見えるものへと変えていきます。 そして振付師の大切な仕事のひとつが、演出家の頭の中にある構想を、具現化することです。 まだ誰にも見えていない景色。言葉になりきっていないイメージ。 その想いを、動きとして最初に形にしていく。...
4月28日
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