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感動をつくる人たち|第38話 指を高く挙げたら、そこがA.M.Jになる

  • 4 日前
  • 読了時間: 3分



A.M.Jって、実は営業をしていません(笑)。

よく、クライアントさんや周りの方から 「営業マンはいないんですか?」 「料金表はないんですか?」 と聞かれるのですが、そのたびに「いないんです」とお答えするので、とても不思議がられます。

でも、本当にいないのです。 私たちへのお仕事のご依頼は、いつも驚くほど自然な形でやってきます。

ホームページからのお問い合わせだったり、 これまで現場をご一緒した方からのご紹介だったり、 「こんなこと、できませんか?」という一本のお電話だったり。

スタッフからもよく、「料金表だけでもホームページに載せたほうがいいですよ」と言われるのですが、作ろうと思っても、これがなかなか難しい。


なぜなら、エンターテイメントには「定型」がないからです。


毎回、まったく違う。

出演者の人数も、内容も、会場の規模も、求められる空気感も、すべてがゼロベース。


だからある意味、お寿司屋さんの “ 時価 ” に近いのかもしれません(笑)。


まずは、「どんなことをやりたいのか」をご依頼主にじっくりと伺うこと。

そこから、A.M.Jの現場づくりが始まります。


まず最初に動くのは、制作チームのコアメンバーです。


「どうする? こんな面白い依頼が入ったんだけど……」


長年一緒に修羅場をくぐり、現場を作ってきたメンバーたちに内容を共有すると、すぐにスケジュール確認の心地よいキャッチボールが始まります。


本番日はもちろん、その数ヶ月前からの仕込み予定までお互いに確認し合いながら、

「この期間、動ける?」 「この日程なら大丈夫、任せて」

と、少しずつ、でも確実に現実の骨組みを組み立てていく。


そして同時に、私の頭の中では、たくさんの「ある顔」が浮かび始めています。


この世界観なら、あの出演者。

この規模なら、あの舞台監督。

この音楽なら、あの編曲家。

この会場なら、あの美術デザイナー。

この空気感なら、あの照明チーム。


演出というのは、ステージの形を考えるだけではなく、“誰と作るか”を考える仕事でもあるのです。


同じ台本であっても、誰と作るかで作品がまとう空気はまったく変わってしまうから。

メンバーのスケジュールが見えてくると、制作会議は第2段階へ。


企画書を作り込み、クライアント様へプレゼンテーションを行います。


商談が成立し、GOサインが出た瞬間。


現場は一気に、地鳴りのようなエネルギーを帯びて動き出します。


作曲家、編曲家、振付師、衣装デザイナー、美術デザイナー。

それぞれの分野の “ 匠 ” たちが、私の掲げた旗のもとに集まり、まだ見えないショーの輪郭を少しずつ、鮮やかに描き出していく。


必要があればオーディションを行い、舞台監督が決まり、運営チームが走り出す。


リハーサル日程やスタジオの調整が始まります。

現場は一気に “ 本番へ向かう空気 ” へと巻き込まれていきます。


けれど、その大きなうねりの中で、一番最初に呼吸を始めるのは、やっぱり「音楽」です。

音楽が決まると、そこに確かな空気が生まれる。

テンポが決まり、感情の波が見えてくる。

実体のない真っ白な空間に、少しずつ “ ショーの景色 ” が立ち上がってくるのです。


「どうする?」


その一言から始まり、私が人差し指を高く挙げる。


すると、

それぞれの現場で磨かれてきた “ 匠 ” たちが、それぞれ自分の武器を持って集まってくれます。


誰かが投げたアイデアの種を、私が一度抱きしめて、温めて、少し大きくして投げ返す。


そこにまた誰かが新しい色を塗って、戻してくる。


その幸福な連鎖が始まった瞬間。


そこが、 A.M.Jになるのです。



読んでくださってありがとうございます。  

心に残りましたら、応援いただけると嬉しいです。


中間裕子(Y.Ai.Nakama)

 
 
 

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