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感動をつくる人たち|第28話 “ はじめまして ”だった人たちが、チームになるまで

  • 5月12日
  • 読了時間: 3分


エンターテイメントの現場では、毎回、同じメンバーが集まるとは限りません。


長年一緒に作品をつくってきた仲間だけの現場もあれば、「はじめまして」の人たちが多く集まる現場もあります。


リハーサル初日、顔寄せの日。

この日は、リハーサルホールの中に独特の緊張感が漂っています。


もちろん、出演者側だった頃の私にとっても、顔寄せは特別な時間でした。


プロデューサーや制作スタッフが全員揃うリハーサルホール。

演出家が語る作品説明をワクワクしながら聞き、先輩や先生方との、少し緊張感のある距離感も好きでした。


台本の読み合わせがあったりテーマソングの歌稽古があったり、衣装合わせがあったり。


共演者やスタッフのことを、少しずつ探りながら見ていた気がします。

きっと、みんなも同じように感じていたのだと思います。


最初は、苗字で呼び合うことが多い現場も、リハーサルが進むにつれて、少しずつ空気が変わっていきます。

振付を教え合ったり、

ハーモニーを確認し合ったり、

立ち位置を確認し合ったり、

誰かの忘れ物をフォローしたり・・・。


リハーサルのあとに、みんなで食事へ行くこともあります。


最初は少し遠慮がちだった会話も、気づけば笑い声が増えている。

「あ、この人、こんなに面白い人だったんだ」

そんな瞬間が、少しずつ距離を縮めていきます。


そして、いつの間にか、苗字で呼んでいた相手を、自然に下の名前や愛称で呼ぶようになっている。

私は、その時間が大好きでした。


“ 出演者 ”として集まった人たちが、少しずつ“ 仲間 ”になっていく感じがするからです。

時には、作品について熱く論議を交わしたり、お互いの意見に「それ、いいね!」と賛同し合ったり。そんな時間を重ねながら、チームは少しずつ形になっていきます。


長年、演出や制作側として現場に立ってきた今でも、 リハーサル初日の顔寄せは、やはり緊張します。

新しく参加するメンバーに対しては、どこか少し距離を取りながら、無意識に「お客様扱い」をしている自分もいます。

でも、リハーサルが進むにつれて、その距離は少しずつ変わっていきます。


以前、2時間のコンサートツアー作品の総合演出をした時のこと。

お初のメンバーも沢山いる中、次から次へと新曲のアレンジが出来上がり、終わりの見えない譜面配付が続く、なかなかハードなリハーサルでした(笑)


「追加の譜面が届きましたぁ!」

「この曲には振り付けもありまーす!」


そんな毎日の中で、出演者も、ミュージシャンも、スタッフも、終わりも出口も見えないトンネルの中を、みんなでもがきながら進んでいました。


その追加の譜面を配る私は、みんなにとっては悪魔に見えていたことでしょう(笑)


もしかしたら、私が“悪者役”になっていたから、チームワークが生まれていたのかもしれません。


でも、そんな暗いトンネルの中で生まれたのは、

「絶対に、いい作品を作って、コンサートを成功させる」という、みんな共通の想いでした。


お互いをフォローし合いながら、トンネルの先にある輝く光を信じて進んでいく。


その時間が、いつの間にかチームをつくっていたのだと思います。


エンターテイメントの現場は、最初から完璧なチームが出来上がっているわけではありません。


少しずつ会話を重ね、同じ時間を過ごし、同じゴールへ向かいながら、気づけば、“ ひとつのチーム ”になっている。


それは、最初から用意されているものではなく、同じ時間を過ごす中で、少しずつ生まれていくものなのかもしれません。


その過程そのものが、私はとても好きなのです。


今回は、チームが“ どう生まれていくのか ”について綴ってみました。


何か心に残るものがありましたら、応援していただけたら嬉しいです。



中間裕子(Y.Ai.Nakama)

 
 
 

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