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感動をつくる人たち |第5話 キャッチボールの中で、作品は育っていく

  • 7 日前
  • 読了時間: 3分


舞台やイベントは、ひとりでつくるものではありません。

どれほど強い想いがあっても、頭の中にあるイメージだけでは、まだ小さな“種”のままです。その種に水を与え、芽を出し、形にしていくもの。

それが、仲間たちとのキャッチボールです。


まず最初に始まるのは、音楽とのキャッチボール。

イベントのテーマや世界観が決まると、私はその象徴となるテーマソングをつくることが多くあります。

オープニングで幕を開ける一曲。レビューショーでは、場面転換やシーンのつなぎとして流れ、フィナーレやPlay Off、チェイサーとして、再び姿を変えて現れる。


最初に生まれたメロディーが、最後まで作品全体を包み込む。そんな“ブックエンド”のような存在になることも少なくありません。


だからこそ、その一曲はとても大切です。

作曲家にイメージを伝え、曲が生まれ、そこに言葉を乗せ、デモ音源をヴォーカリストに歌ってもらう。そのたびに、何度も何度もキャッチボールが続きます。


次に始まるのは、振付師とのキャッチボールです。

私はもともとパフォーマーであり、演出家として、そして振付師として、これまで数多くの作品をつくってきました。振付のみを担当する作品もありましたが、演出と振付の両方を担うことも多く、最近は演出を中心に活動しています。

そのため、音楽をつくる段階で、すでにステージ上の動きや絵が頭の中に見えていることもあります。

けれど、そのイメージはまだ完成形ではありません。

仲間たちとのキャッチボールの中で、少しずつ輪郭を持ちはじめます。

「この方法なら、もっと伝わるかもしれない」

「そのステップ かっこいい」

「その発想をもっと膨らまそう」

作品をより良くしようと向き合う中で、思いがけないアイデアや、新しい表現が生まれていく。

ひとりでは辿り着けなかった景色に、みんなで出会える瞬間があります。

そうして、作品は一気に成長していくのです。


時には、リハーサル中にダンサーが振付を間違えたことで、思いがけず魅力的な動きが生まれることもあります。

予定外の出来事が、新しい正解になる。そんな瞬間も、舞台づくりの面白さです。


照明プランナーもまた、大切なキャッチボールの相手です。

リハーサルを見守りながら、作品の呼吸を感じ取り、舞台稽古では、それぞれの場面に光で命を吹き込んでいく。

出演者を美しく見せ、衣装を輝かせ、空気までも変えてしまうその仕事は、まるで魔法のようです。

こうして、誰かひとりの頭の中にあった小さな種は、たくさんの才能と想いに触れながら、幹となり、枝となり、花を咲かせていきます。

作品とは、完成させるものではなく、育てていくもの。

そしてその成長は、仲間たちとのキャッチボールの中で生まれているのだと思います。

次回、第6話では、もうひとつの大切なキャッチボール――本番を支える運営スタッフや制作チームとのやり取りについて、綴ってみたいと思います。      記:中間裕子(Y.Ai.Nakama)

 
 
 

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