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感動をつくる人たち(特別編)あの日、傷ついた少女は、小学校の先生になっていた

  • 4月18日
  • 読了時間: 3分

今年、震災から15年という節目の年を迎え、私は、あるご家族のことを思い出しました。

15年前、日本を襲った未曾有の震災。

その痛みの中で、心に深い傷を負った少女がいました。


ご家族は、少しでも笑顔を取り戻してほしいと願い、彼女を夢あふれるあの場所へ連れて来られたのです。

その頃、私は期間限定のショーに携わっていました。客席と舞台がひとつになる、あたたかな時間のある作品でした。

その日、ご家族が寄せてくださったメッセージを、偶然にもステージの中で紹介することになりました。

それは、ほんのひと場面にすぎませんでした。

けれど、その出来事がきっかけとなり、ご家族とメールでやり取りをするようになり、 毎年のように足を運んでくださるようになりました。

被災地から決して近い距離ではありません。宿泊をしながら時間をかけて、何度もショーを観にいらしてくださいました。


私は、少女の心の中に何が起きていたのか、本当のところを知ることはできません。

けれど、あの日、オーケストラが奏でる演奏。美しい歌声。心を揺さぶるダンス。

舞台の上から届けられたたくさんの夢や希望が、きっと彼女の心を少しずつあたため、ご家族との絆、そして生きる勇気の大切さを、受け取ってくれていたのではないかと思うのです。

ショーが終わり、時代が変わり、しばらくご無沙汰していたのですが、先日 思い切ってメールを送ってみました。

「お元気でいらっしゃいますか」と。

ほどなくして届いた返信には、胸がいっぱいになる言葉が綴られていました。


あの少女は、立派に成長し、今は小学校の先生になっているとのことでした。

子どもたちに寄り添い、未来を育てる仕事を選び、日々教壇に立っているそうです。

さらに来年、人生の新たな門出として、祝福に包まれた場所で結婚式を挙げることも決まったとありました。

読みながら、しばらく言葉が出ませんでした。


あの日、心に痛みを抱えていた少女が、多くの時間を乗り越え、誰かを支える人になり、

愛する人と未来へ歩き出そうとしている。

それは、どんな脚本よりも美しい物語でした。


華やかな舞台やイベントの世界にいると、感動は、その瞬間に生まれて、その場で終わるもの。そんなふうに思われることがあります。

けれど、本当は少し違います。

その日の音楽。交わした言葉。客席で流した涙。誰かに向けられた笑顔。

そうした一瞬の出来事が、その後の人生を静かに支え続けていることがあります。

あの日の客席で起きた小さな出来事が、15年という歳月を越えて、こんなにもあたたかな報告となって返ってきたことに、私は深く胸を打たれました。


感動とは、その場で消えるものではない。

誰かの心の中で育ち、時を経て、人生の光になることがある。

私は、その返信を読みながら、あらためて、そのことを深く感じました。


今日は、第5話へは進まず、ちょっと寄り道をして特別編でした。


     記:中間裕子(Y.Ai.Nakama)

 
 
 

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