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感動をつくる人たち|Season3 第2話 舞台に描く、見えないピラミッド

10月4日
読了時間: 4分


大人数の出演者が、ステージにいる。

さて、皆さんなら、誰を、どこに立たせますか?

私が大人数のショーをつくる時、頭の中には、いつもひとつの「ピラミッド」があります。

もちろん、本当に三角形に並べるわけではありません。(笑)

これは、私なりの「絵作り」の考え方です。

前回書いたSwing Jazzのショーには、シンガー、タップダンサー、そして大人数のダンサーが出演していました。

それぞれ役割が違います。

シンガーは、シンガー。ダンサーは、ダンサー。

誰を、どう見せるのか。

例えば、このショーの場合、基本となるピラミッドの頂点には、男女4人のシンガーがいました。

その下に、2名のスペシャルタップダンサー。

さらにその下に、少人数のコーラスを担当するシンガーダンサーがいて、少人数のダンサーがいて、その下に大人数のダンサーがいる。

でも、これは出演者の序列ではありません。

今、お客様に何を見てもらうのか。

そのためのピラミッドです。

それぞれのシーンにも、別の絵がある

このショー全体のピラミッドは、基本的には最初から最後まで変わりません。

でも、ショーは一枚の絵ではありません。


それぞれのシーンの中にも、そのシーンならではの絵があります。


シンガーを中心に見せるシーンもあれば、その曲の途中にダンスブレイクがあれば、その瞬間はダンサーを中心としたピラミッドになることもあります。


一方で、誰か一人を頂点にしないシーンもあります。


例えば、大人数が何列にも並び、ほとんどフォーメーションを変えずに踊るシーン。


その場合でも、前列に誰を置くのか、出演者それぞれにどんな役割があるのか。

そこには、フォーメーションとは別の意味でのピラミッドが存在することもあります。


つまり、私の言う「ピラミッド」は、フォーメーションそのものではありません。


今、誰を見せるのか。何を見せるのか。そして、全体をどう見せるのか。


作品によって、シーンによって、その答えはまったく違います。


それが、私にとっての「絵作り」です。


観客の視線を、どう導くのか


では、「今、ここを見てほしい」と思った時、どうやってそれをお客様に伝えるのか。


方法は、ひとつではありません。

例えば、フォーメーションの中に高低差をつける。

見せたい人だけを立たせて、他の人を座らせる。

見せたい人だけを動かして、周りの人をストップモーションにする。


もし、見せたい人がセンターではなく、舞台の端にいても、周りが止まり、その人だけが動いていれば、自然とそこに目がいきます。

照明の力を借りることもあります。


衣装も、一人だけ色が違う。デザインが違う。

それだけでも、観客の視線を自然に導くことができます。


つまり、

「この人を見せたいから、センターに立たせる」

という単純なことではありません。


高さを変える。動きと静止をつくる。光を当てる。衣装で違いを見せる。

いくつもの方法を使いながら、今、この瞬間、お客様に何を見てもらいたいのか。


それを客席に伝えていく。

それも、私にとっての「絵作り」です。


絵作りは、もっと前から始まっている


ここまで、ピラミッドやフォーメーションについて書いてきました。

でも、この「絵作り」は、出演者をリハーサルスタジオのフロアーに立たせてから始まるものではありません。


もっと、もっと、ずっと前。


音楽制作で、アレンジャーさんと打ち合わせをする頃には、私の頭の中には、すでにある程度の舞台の絵と、時間軸が見えています。


この記事の最初に、皆さんにこんな質問をしました。

「誰を、どこに立たせますか?」


でも、演出家が考えているのは、その答えだけではありません。


誰を見せたいのか。何を見せたいのか。そして、それを客席からどう見せたいのか。

そのために、人を配置し、高低差をつくり、動かしたり、止めたり、照明や衣装の力も借りる。

そうやって、頭の中にある絵を、少しずつ現実の舞台にしていきます。


私が大人数のショーをつくる時、その設計図のひとつとして頭の中にあるのが、

「見えないピラミッド」

です。


瞬間、瞬間に舞台に生まれる一枚の絵。


その中に隠れた「見えないピラミッド」が、お客様の視線を導き、そして、いつの間にか心まで動かしていく。


見せたいものを、見せたい瞬間に届ける。

それが、演出という仕事なのだと思います。



読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)

 
 
 

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