感動をつくる人たち|Season3 第5話「自由」と「勝手」は違う

私は、作品の中に、出演者が自由に表現できる場所をつくることがあります。
でも、
「自由にやっていいよ」は、「何をやってもいいよ」ではありません。
決めるところは、きちんと決める。
その上で、出演者に託すところをつくる。
例えば、リハーサルで、
「はい。好きなポーズ!」
と言うことがあります。
「アクション!」
それぞれが思い思いのポーズをする。
「あ、それ、いいね!」
となれば、そのままその人のポーズとして決めることもあります。
でも、ステージでは、出演者全員のポーズが、ひとつの絵として客席から見えます。
自由にやってもらうと、偶然、同じようなポーズが重なることもある。
そんな時は、全体のバランスを見ながら調整して、最終的には一人ひとりのポーズを決めていきます。
まず、自由にやってもらう。
そこから、いいものを拾う。
そして、作品として整える。
リハーサルの中で出演者から出てきたものを活かしながら、最終的には演出として決めています。
その一方で、作品によっては、
何小節かを、出演者の自由な表現に任せることもあります。
そこは、本番でも毎回同じでなくていい。
その日の空気や、出演者同士のやり取りから生まれるものもある。
そんな「ライブならではの遊び」を、あえて残しておく。
でも、その自由を誰にでも、何でも託せるわけではありません。
自由を託せる人
その自由を託すために大切なのは、まず出演者の技量。
そして、
「この人なら託して大丈夫」
と思える信頼関係です。
どんなに技量があっても、作品の世界観から外れてしまったら違う。
全体のバランスを壊して、自分だけ目立とうとするのも違う。
そこを越えたら、それは「自由」ではなく「勝手」になります。
だから、自由に表現できる場所をつくる時には、
「ここまでは自由。でも、これは違う」
その境界線を、きちんと共有しておく必要があります。
リハーサルだから、やってみる
そのためにも、リハーサルでは、あえていろいろやってもらうことがあります。
初めて一緒に仕事をする出演者や、私がまだその人のことをよく知らない場合は、
どんな発想をするのか。
どんな可能性を持っているのか。
それを見る時間にもなります。
よく知っている出演者なら、その人の個性を活かして、自由に表現してもらいます。
リハーサルなんだから、失敗してもいい。
やってみて、違えば直す。
面白ければ、取り入れる。
そして、そのやり取りを、出演者と演出間だけでなく、立ち会っている舞台監督や制作・運営スタッフとも共有していく。
本番が始まる頃には、作品の世界観と、その中で許される「自由」を、チーム全体が理解してもらえる為です。
毎日やっている人だからこそ
そして、本番が始まる。
リハーサルで、ほとんどのことは決まっています。
それでも、毎日その作品を上演している出演者だからこそ、生まれることがあります。
ほんのちょっとした芝居。
ちょっとしたリアクション。
ある日、それを見て、
「あ、それいいじゃない!」
私が考えていなかったことでも、作品の世界観から外れていない。
むしろ、そのシーンが少し豊かになる。
そんな「ライブならではの遊び」から生まれたものなら、
「Keep!」
です。
演出家が考えたものだけで、作品が育っていくわけではありません。
出演者から生まれたいいものは、
美味しくいただきます。(笑)
読んでいただき ありがとうございました。
中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)






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