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感動をつくる人たち|Season3 第3話 そのショーは、誰のために上演するのか

10月6日
読了時間: 5分

― 誰に、何を届けるのか ―

ショーをつくる時、最初に何を考えるのか。

劇場の大きさでしょうか。 出演者の人数でしょうか。 それとも、 音楽でしょうか。

私の場合、まず考えるのは、

「クライアントが求めている世界観は、何なのか」

ということです。

そして、その世界観を、どこで上演するのか。

劇場なのか。 テーマパークなのか。 ホテルなのか。

同じ世界観でも、上演する場所が変われば、演出はまったく変わります。

同じSwing Jazzでも、場所が変われば演出は変わる

例えば、

1930〜40年代のSwing Jazzを使った、華やかなショー。

そんな依頼があったとします。

劇場なら、舞台転換を自在に使うことができます。

一方、ホテルでは、劇場と同じような舞台転換は難しい。

そして、テーマパークなら、さらに別のことを考えます。 その場所ならではの要素を、ショーの中にどう組み込むのか。

そのひとつが、そこに存在するメインキャラクターとのコラボレーションです。

Big BandによるSwing Jazzの生演奏。 シンガーによる生歌。 そして、ダンサーたち。

まずは、それだけで成立するSwing Jazzの世界を、しっかりつくります。

その上で、そこにメインキャラクターを登場させていく。

でも、ここで大切なのは、

「このショーを、誰が観るのか」

ということです。

誰に向けたショーなのか

お子様を対象としたショーなのか。

ファミリーエンターテイメントなのか。

あるいは、大人も楽しめるショーなのか。

ターゲットが変われば、当然、見せ方も変わります。

そして、テーマパークには、その場所だからこそ、お客様が会いたいと思っている存在がいます。

そのキャラクターに、お客様は何を期待しているのか。

どんな姿を見たいと思っているのか。

そして、

そのスター性を、どう活かすのか。

私は、そこをとても大切にしています。

スターの登場を、どう魅せるか

その中でも、特に重要なのが、

最初の登場です。

スターを、いつ、どうやって登場させるのか。

どんなにカッコいいOpeningナンバーをつくっても、スターが普通に登場してしまったら、観客の気持ちは半減してしまいます。

まず考えるのは、

どのタイミングで登場させるのか。

そして、

その登場を、どうドラマチックにするのか。

一番シンプルな方法は、音楽の雰囲気を変えることです。

照明や、周りの出演者の動きは、そのあとにつけていけばいい。

まずは、音楽とタイミング。

スターが登場した瞬間、

「来た!」

と感じてもらう。

その最初の一瞬で、観客の心をつかみます。

登場したら、すぐに次へ行かない

そして、スターが登場したら、その時間を少し引っ張ります。

観客の気持ちは、スターの登場によって一気に高揚します。

その高揚した気持ちが、少し落ち着くまで。

私は、その「秒数」も大切に扱います。

せっかく観客の心をつかんだのに、すぐに次の展開へ進んでしまったら、その喜びを十分に味わってもらえません。

登場させることだけが、登場の演出ではない。

スターが登場したことを、観客が楽しむ時間までつくる。

そこまでが、私にとっての「登場」です。

二つの世界が、ひとつになっていく

スターの登場をしっかり見せたら、そこから少しずつ、客席とステージが一体になった世界へ入っていきます。

最初につくり上げたSwing Jazzの世界観が、そのスターを包み込んでいく。

そして、少しずつ、お互いが馴染んでいきます。

ここで大切なのは、

Swing Jazzの世界を壊して、スターに合わせることでもない。

スターを、Swing Jazzの世界に無理やり押し込むことでもない。

二つの世界が出会って、ひとつの世界になっていく。

私は、その瞬間をつくりたいと思っています。

登場は、二つの世界をつなぐ瞬間

だからこそ、最初の登場は、とても大切です。

ここを失敗すると、最後まで二つの世界が平行線のままになってしまう。

同じステージに存在しているのに、ひとつの世界には見えない。

別々の世界観を、無理やり一緒にしたように見えてしまう。

スターの登場は、ただカッコよく見せるためだけのものではありません。

登場は、二つの世界をつなぐ瞬間でもあるのです。

そして、ピラミッドの頂点は変わっていく

スターが登場した瞬間。

その時、ピラミッドの頂点にいるのは、間違いなくそのスターです。

でも、ショーが進んでいけば、ずっと同じ人が頂点にいるわけではありません。

シンガーの歌を聴かせるシーン。 ミュージシャンの演奏を聴かせるシーン。 ダンサーのダンステクニックを見せるシーン。 ダンサーたちがステージを埋め尽くすシーン。

客席もステージもひとつの世界に入ったあとは、シーンによって、ピラミッドの頂点は変わっていきます。

そして、再びスターを見せたい瞬間が来れば、スターが頂点に戻る。

前回、

「今、お客様に何を見てもらうのか」

という話を書きました。

でも、その前に考えなければならないことがあります。

そのお客様は、誰なのか。

ショーをつくる時、

どこで上演するのか。

誰に向けて上演するのか。

その場所で、お客様が求めているスターは誰なのか。

そして、異なる世界を、どうひとつの世界にしていくのか。

同じ音楽を使っても、同じ出演者がいても、その答えによって演出は変わります。

だから私は、作品をつくる時、

「何を見せたいのか」

だけではなく、

「誰に、何を届けたいのか」を考えます。

そして、その答えを探す時、最後に戻ってくるのは、やはりこの問いです。

そのショーは、誰のためにあるのか。

私は、それを忘れないことも、

「演出する」ということなのだと思います。 読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)

 
 
 

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