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感動をつくる人たち|Season3 第11話 演出の仕事に、大きいも小さいもない感動をつくる人たち

11 時間前
読了時間: 5分

ある企業の式典で、私は華やかなオープニングを提案したことがあります。

生演奏に合わせて、シンガーとダンサーが登場する。

まるでアカデミー賞の授賞式のような幕開けです。

社長の登場には、生演奏によるファンファーレも用意しました。

「そんなことが出来るのですか?」

クライアントの方は、最初、とても驚かれていました。

もともと式典の最後にミニショーを依頼されていたので、シンガー、ダンサー、ミュージシャンといった出演者だけでなく、ショーのための照明や音響も用意されることになっていました。

それなら、その力を式典のオープニングから生かせないだろうか。

ホテルの式典では、会場の天井に設置された常設スピーカーを使うこともあります。

でも、今回はミニショーのために、生演奏や歌に対応できる音響設備と、ショー用の照明を別途用意することが決まっていました。

それなら、式典のオープニングから、それらを生かすことができます。

さらに、オープニングに登場したダンサーたちに、その後の表彰式でも活躍してもらうことを提案しました。

受賞者を舞台へ誘導し、賞品の授与をサポートする。

ダンサーならではの美しい所作を生かせば、式典の進行もスムーズになります。

ショーのために用意した出演者や設備を、式典全体にも生かす。

華やかなオープニングをつくることと、式典を滞りなく進めること。

その二つを、別々に考える必要はありません。

華やかな演出を支えるもの

こうした式典では、華やかなオープニングだけを考えていればよいわけではありません。

司会者が何を話すのか。

その言葉に合わせて、誰が、どこから登場するのか。

受賞される方は、どのルートを通って登壇するのか。

贈呈者と受賞者の立ち位置。 それをサポートする人。

それぞれの動きが自然につながって、初めて式典はスムーズに進行します。

私は司会台本を書くときにも、こうした出演者やアテンダントの動きを細かく書き込みます。

音楽がある場合は音楽のリハーサルを行い、スタジオで全体の流れを確認することもあります。

本番会場に入る前に、必要な段取りを確認しておくことは、とても重要だと思っています。

本番の会場では、限られた時間の中で準備を進めなければならないからです。

華やかな舞台をつくることと、その舞台を成立させるための準備。

どちらも、私にとっては演出の仕事です。

40年ほど前の式典

思い返せば、30〜40年ほど前。

私は、企業がテーマパークの会場を貸し切って行う式典を、毎週のように演出していました。

企業が従業員とそのご家族を招待して行う式典では、代表者のご挨拶や抽選会があり、キャラクターたちも登場して、お客様と一緒に楽しい時間を過ごす。

そんな式典でした。

それぞれの企業によって式典の内容は異なりましたので、私にとって、とても演出の勉強になる現場のひとつでした。

お客様を迎える音楽。

会場の照明。

登壇者のためのマイクの高さ。

スタンドマイクに飾る花の位置。

登壇者が歩くルートや階段。

司会者の台詞と、それに合わせて動く出演者たち。

一つひとつ確認しながら、全体の流れをつくっていきます。

抽選会も、どうすればお客様が楽しみながら参加できるだろうかと考えて、当選番号の発表方法を工夫したり、出演者たちの動きを考えたり、賞品を受け取る方法や順番を考えたり。

ステージ上の華やかな演出だけでなく、こうした細かな段取りを考えることも、私にとっては式典演出の楽しい仕事でした。

大切なのは、何をどう見せるか

式典には、華やかなショーとは違う難しさと面白さがあります。

主役は、必ずしも舞台に立つ出演者ではありません。

企業の代表者であったり、表彰される社員の方であったり、参加されるお客様であったりします。

その方たちが、気持ちよく舞台に立ち、自然に動けるようにする。

そして、会場のお客様にも、その時間を一緒に楽しんでいただく。

そのために、音楽と照明を使って華やかにすることもあれば、反対に、何も加えず、シンプルに進めた方がよい場面もあります。

大切なのは、クライアントがこの式典に何を求めているのか。

そして、その思いを、参加されたお客様にどう伝えるお手伝いができるのか。

私は、そこを大切にしています。

演出の仕事に、大きいも小さいもない

私は、式典の仕事を経験してから、大きなショーの演出をするようになったわけではありません。

大きなショーをつくりながら、式典の演出もしてきました。

そして、それは今も変わりません。

大勢の出演者が登場する華やかなショーもあれば、数人の登壇者だけで進行する式典もあります。

使える時間も、予算も、会場の条件も違います。

でも、演出家として考えることの基本は同じです。

誰のために、何を伝えたいのか。

そのために、何を見せ、どう進めるのか。

そして、関わる人たちが、それぞれの役割を十分に果たせるようにするには、何が必要なのか。

華やかな場面にも、何気ない一つの動きにも、演出家が考えるべきことがあります。

だから私は、こう思うのです。

演出の仕事に、大きいも小さいもない。 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。 中間裕子(Yuko Ai Nakama)





 
 
 

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