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感動をつくる人の原点|Season2 第22話 想像を超えた舞台 

9月7日
読了時間: 3分


1995年頃、初めてラスベガスでショーを観た時のことを、今でもよく覚えています。


最初に観たのは、MGMグランドで上演されていた『EFX』でした。


それまでにも、日本でマジックショーを観たことはありましたが、この時、目の前で繰り広げられたマジックは、まったくスケールが違いました。


椅子やテーブルが、空中に浮かんでいく。

「えっ、どうなっているの?」

考えても、まったく分かりません。(笑)


まさに、度肝を抜かれた。

ラスベガスで最初に出会ったのは、そんなショーでした。


その数年後、今度は『O』を観ました。


幕が開くと、大きな赤い布が目の前から一気に消えていく。

そして、その向こうに現れたのは、水でした。


「えっ、ここ、プールなの?」


ところが、まだ驚きは続きます。


水面には、人が潜って待っているような気配はありません。

泡も見えない。


それなのに突然、水の中から人が現れる。

「どこにいたの?」

もう、それだけで不思議でした。(笑)


通常のサーカスなら、空中演技を終えた出演者は、下に張られたネットへ飛び降ります。


ところが『O』では、そのネットがない。


出演者たちは、空中から深いプールへ飛び込んでいくのです。


そして、それまで深いプールだった場所が、いつの間にか広い舞台へと姿を変えている。


水中、水面、舞台、そして空中。

そのすべてが、一つの舞台になっていました。


次から次へと現れる想像を超えた光景に、気がつけば、仕掛けのことなど忘れて、ただ一人の観客として、その世界にすっかり引き込まれていました。


その後、『KÀ』を観た時は、開演する前から驚かされました。

まだ客入れの時間なのに、客席の両側では、出演者たちが大きな滑車やロープを使って、登ったり、降りたりしている。


ショーが始まる前から、その空間全体で、観客を『KÀ』の世界へ誘っていたのです。


そして、ショーが始まると、さらに驚きの連続でした。 物語の中心にいるのは、戦いによって離れ離れになってしまう双子の兄妹。

妹が船で逃げる場面では嵐に遭い、やがて船は沈んでいきます。

その場面では、空中を使って、まるで出演者たちが海の中へ潜っていくように見せていく。本当に水があるわけではありません。

それなのに、そこには海の中の世界が見えてくる。


さらに、舞台いっぱいに砂浜が広がる場面がありました。


砂の中から、大きなカニやヒトデ、ウミガメ、虫のような生き物たちが現れる。

どこかユーモラスで、私はこの場面がとても好きでした。


ところが、その砂浜だった巨大な舞台が、今度はゆっくりと傾き始めます。


砂が、舞台の下へ流れ落ちていく。


そして、それまで砂浜だった舞台が、やがて巨大な壁のように立ち上がる。


その壁を出演者たちが登り、そこへ矢が次々と突き刺さっていく。


一つの舞台が、砂浜になり、崖になり、巨大な壁にもなる。


舞台装置が物語の背景にあるのではなく、舞台そのものが姿を変えながら、物語を動かしていく。


その発想に、私は驚かされました。


『O』では、本物の水を使った舞台に驚かされ、

『KÀ』では、水がなくても海の中の世界をつくり出し、観客を物語の中へ引き込んでいく。

なにしろ、すごかった。(笑)


ラスベガスでショーを観るたびに、私がそれまで知っていた「舞台」というものの常識が、次々と壊されていきました。


水中も、水面も、空中も。


そして、舞台そのものまで。


大切なのは、

「舞台とは、こういうもの。」

と、自分で可能性を狭めないこと。


固定観念にとらわれず、自由な発想で、新しい可能性を探し続ける。


その先に、

まだ誰も見たことのない舞台が生まれる。


ラスベガスで出会った数々のショーは、そんなことを、私に教えてくれました。




読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)

 
 
 

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