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感動をつくる人の原点|Season2 第24話 演出家の引き出し

9月12日
読了時間: 3分


演出家のアイデアは、どこから生まれてくるのだろう。


あらためて考えてみると、自分の「引き出し」には、本当にいろいろなものが入っているんだろうな、と思います。


宝塚で、演じたり、観てきた舞台。

ブロードウェイやラスベガスで出会った、想像を超えるようなショー。


でも、それだけではありません。


子どもの頃に見ていた喜劇やテレビ番組。

思わず笑ってしまった場面。

音楽やダンス。

旅先で見た景色や、何気なく目にした出来事。


考えてみれば、演出家になってから「引き出し」を作り始めたわけではありません。


演出のために、何かを集めていたわけでもありません。


ただ面白くて笑ったり、驚いたり、感動したり。

そんなものが、いつの間にか、自分の中に仕舞われていたのだと思います。


だからといって、作品を創る時、

「さて、引き出しの中から何か探してみよう。」

そう考えているわけでもありません。


むしろ、アイデアは突然やってきます。


音楽の打ち合わせをしている時。

リハーサルをしている時。

お風呂に入っている時。

時には、夢の中でも。


「あっ、これだ!」

突然、何かが浮かぶ。


私は昔から、そんな瞬間を、

「神が降りてきた!」

と呼んでいました。(笑) もちろん、宗教的な意味ではありません。

どこからともなく突然アイデアが降ってきたように感じる。

私にとっては、そんな瞬間を表す言葉です。


「神が降りてくる」のは、時間も場所も選びません。

たとえば、あるクリスマスのショーを創っていた時のことです。


何気なくテレビをつけると、ニュースで運動会の大玉転がしが映っていました。

赤い大きな玉が、ゴロゴロと転がっていく。


それを見た瞬間、

「これだ!」


ステージでは、小さな白い雪玉を出演者が転がしていく。

その雪玉が舞台袖へ入ると、今度は大きくなった雪玉が転がってくる。

それを反対側の袖へ転がすと、次に現れるのは、さらに巨大な雪玉。

出演者たちは、びっくりして逃げていく。


テレビで何気なく見た大玉転がしが、そんな楽しいクリスマスのシーンに変わりました。


これも、私にとっては、

「神が降りてきた!」

瞬間のひとつでした。(笑)


振り返ってみても、

「あのアイデアは、何と何がつながって生まれたんだろう。」

そんなことを、私はあまり考えたことがありません。


でも、きっと私の中には、

これまで見てきたもの。

聞いてきたもの。

笑ったもの。

驚いたもの。

そして、心を動かされたもの。


そんなものが、知らないうちにたくさん引き出しに仕舞われていたのでしょう。


子どもの頃から今日まで。

何気なく過ごしてきた毎日の中で、少しずつ増えてきたもの。


そう考えると、

何でもない今日の出来事も、いつか新しい何かを生み出すために、知らないうちに、心のどこかに仕舞われていくのかもしれません。




読んでいただき ありがとうございました。 

中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)

 
 
 

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