感動をつくる人の原点|Season2 第25話 【最終回】私の原点、そして、OHANA

Season2では、この物語を書きながら、何度も自分のアルバムを開いてきました。
そして最終回に、もう一つだけ、私の演出の原点が詰まったショーのお話をしたいと思います。
あるレストランで、長い年月にわたって上演していた、ポリネシアンスタイルのディナーショーです。
このショーで、私がダンサーによく伝えていた言葉があります。
「自分の魅力を出しなさい。」
もちろん、振付はあります。
フォーメーションもあります。
みんなで揃えるところは、きちんと揃える。
でも、それだけでは、その人が踊る意味がなくなってしまいます。
特に、ロマンチックな曲を一人で踊るフラ・アウアナでは、一人ひとりが持っている個性を大切にしていました。
同じ基本となる振付を踊っていても、踊る人によって、そこに見える景色は違います。
それぞれのダンサーが、これまで学び、身につけてきたもの。
そして、その人自身が持っている個性を大切にしながら、どう踊るかはダンサーに任せていました。
一方、タヒチアンダンスでは、また違った形で個性が表れます。
ショーの中には、ダンサー同士が競い合うように踊るシーンもありました。
相手の踊りを感じる。
その日のエネルギーを感じる。
「今日は、どう来る?」
「だったら、私はこう踊る。」
舞台の上で、互いのエネルギーを受け取りながら踊る。
だから、同じショーでも毎回まったく同じにはなりません。
私は、それでいいと思っていました。
一人ひとりが自分の魅力を持って舞台に立つ。
その魅力が誰かを刺激し、また誰かの魅力を引き出していく。
違うからこそ、一緒に創れる。
そんな関係が生まれた時、ステージは生きたものになっていくのだと思います。
このショーは、結果として18年間にわたるロングラン公演となりました。
何度も何度も、足を運んでくださるお客様もいらっしゃいました。
長い年月の中で出演者は変わっても、一人ひとりが、その日のステージを生きていた。
その積み重ねが、18年という時間につながったのかもしれません。
振り返ってみると、このショーをつくっていたのは、演出家一人ではありません。
ミュージシャンがいて。
シンガーがいて。
ダンサーがいて。
スタッフがいて。
そして、一緒に楽しんでくださるお客様がいる。
そのすべてが揃って初めて、あの世界は生まれていました。
Season2では、私が演出家になるまでの道のりから始まり、さまざまな経験や、たくさんの人との出会いについて書いてきました。
こうしてアルバムをめくってみると、今の自分が、たくさんの出会いや経験の積み重ねの上にいることを感じます。
教えてくださった人がいる。
背中を押してくださった人がいる。
一緒に悩んだ人がいる。
一緒に笑った人がいる。
そして、
一緒に作品を創ってきた、たくさんの仲間がいる。
私の原点には、いつも「人」がいました。
感動は、一人では生まれません。
だから私は、
今でも仲間を、
OHANA
と呼びたいのです。
家族のように同じ時間を過ごし、
それぞれ違うものを持ちながら、
一つのものを一緒に創っていく仲間たち。
そんなOHANAと出会えたことも、
私にとって、大切な原点の一つなのだと思います。
そして、これからも。
誰かの心が動く瞬間を、つくり続けていきたいと思っています。
Season2「感動をつくる人の原点」
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
中間裕子(Yuko.Ai.Nakama)




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