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感動をつくる人たち|Season3 第1話 なぜ、Swing Jazzは愛され続けるのか
皆さんにとって、「懐メロ」と「スタンダード」の違いって、なんですか? 私は、こんなふうに思います。 懐メロは、過去を思い出す音楽。 スタンダードは、過去から現在まで演奏され続ける音楽。 もちろん、これは私なりの捉え方です。 でも、Swing Jazzの世界に長く関わってきて、この「演奏され続ける」ということに、スタンダードという音楽の魅力があるように思うのです。 私は、ひとつのSwing Jazzのショーをつくりました。 Big Bandがステージにいて、生で演奏する。 その前でシンガーが歌い、大人数のダンサーが踊り、タップダンサーがリズムを刻む。 そこで使ったのは、1930年代、40年代を中心としたSwing Jazzの名曲たちでした。 でも私は、出演者たちに、 「1930年代、40年代へタイムスリップしているわけではない」 と伝えていました。 昔の人を演じるのではありません。 今を生きている人たちが、今、演奏し、今、歌い、今、踊っている。 あくまでも、これはライブショーだからです。 ただし、その時代のStyleは大切にしました。...
9月30日


ただ、歩く。
ノルウェー国王の国葬を見ていました。 威風堂々。 そこには、ヨーロッパの長い歴史と、受け継がれてきた伝統の重みがありました。 けれど、私の目がいちばん惹きつけられたのは、とてもシンプルなことでした。 歩くこと。 楽団や軍人たちの足並みが揃っているのは、わかります。 けれど、棺の後ろを歩く王族の方々も、歩くテンポが揃っている。歩幅が揃っている。 前の人との距離も、大きく乱れない。 誰かが大きな動きをするわけでもない。何かを表現しようとしているわけでもない。 ただ、歩いている。 それなのに、その姿を見ているうちに、 「気持ちを合わせる」「心をひとつにする」 ということが、目の前に見えてくるような気がしました。 私は長く、ショーをつくる仕事をしてきました。 踊ることも、歌うことも、演じることも、もちろん表現です。 でも、 歩くことも、表現になる。 何をするかではなく、どんな気持ちで、そこにいるのか。 同じ方向を見て、同じテンポで、ともに一歩を踏み出す。 それだけで、人の心に伝わるものがある。 何かを足さなくてもいい。大きく見せなくてもいい。 ただ、歩く
9月14日


感動をつくる人の原点|Season2 第25話 【最終回】私の原点、そして、OHANA
Season2では、この物語を書きながら、何度も自分のアルバムを開いてきました。 そして最終回に、もう一つだけ、私の演出の原点が詰まったショーのお話をしたいと思います。 あるレストランで、長い年月にわたって上演していた、ポリネシアンスタイルのディナーショーです。 このショーで、私がダンサーによく伝えていた言葉があります。 「自分の魅力を出しなさい。」 もちろん、振付はあります。 フォーメーションもあります。 みんなで揃えるところは、きちんと揃える。 でも、それだけでは、その人が踊る意味がなくなってしまいます。 特に、ロマンチックな曲を一人で踊るフラ・アウアナでは、一人ひとりが持っている個性を大切にしていました。 同じ基本となる振付を踊っていても、踊る人によって、そこに見える景色は違います。 それぞれのダンサーが、これまで学び、身につけてきたもの。 そして、その人自身が持っている個性を大切にしながら、どう踊るかはダンサーに任せていました。 一方、タヒチアンダンスでは、また違った形で個性が表れます。 ショーの中には、ダンサー同士が競い合うように踊るシ
9月13日


感動をつくる人の原点|Season2 第24話 演出家の引き出し
演出家のアイデアは、どこから生まれてくるのだろう。 あらためて考えてみると、自分の「引き出し」には、本当にいろいろなものが入っているんだろうな、と思います。 宝塚で、演じたり、観てきた舞台。 ブロードウェイやラスベガスで出会った、想像を超えるようなショー。 でも、それだけではありません。 子どもの頃に見ていた喜劇やテレビ番組。 思わず笑ってしまった場面。 音楽やダンス。 旅先で見た景色や、何気なく目にした出来事。 考えてみれば、演出家になってから「引き出し」を作り始めたわけではありません。 演出のために、何かを集めていたわけでもありません。 ただ面白くて笑ったり、驚いたり、感動したり。 そんなものが、いつの間にか、自分の中に仕舞われていたのだと思います。 だからといって、作品を創る時、 「さて、引き出しの中から何か探してみよう。」 そう考えているわけでもありません。 むしろ、アイデアは突然やってきます。 音楽の打ち合わせをしている時。 リハーサルをしている時。 お風呂に入っている時。 時には、夢の中でも。 「あっ、これだ!」 突然、何かが浮かぶ。
9月12日


感動をつくる人の原点|Season2 第23話 非日常への入口
昔、あるプロデューサーから、こんなことを言われたことがあります。 「素晴らしい作品を観に行くのと同じように、つまらないと言われている作品も観に行きなさい。」 なぜなら、 どんなに小さな作品にも、そこには必ず、それを考え、組み立てている人がいるから。 たとえば、ちょっとした式典。 華やかなショーがあるわけではなくても、そこにはたくさんの演出があります。 どんなBGMを流すのか。 客席の照明は、どのくらいの明るさにするのか。 誰が、いつ、どこから登場するのか。 一つひとつは、とても小さなことです。 でも、その積み重ねによって、 その場の空気はつくられていきます。 あの頃、そのプロデューサーの言葉を聞いた私が、わざわざ「つまらない」と言われている作品を探して観に行ったかというと…… たぶん、行っていません。(笑) でも、その言葉は、なぜかずっと心のどこかに残っていました。 そして長い間、演出という仕事を続けてきた今、その言葉の意味がよくわかります。 現在、企業の式典やパーティーを演出する時、私は舞台の上で何をするかだけを考えているわけではありません。
9月9日


感動をつくる人の原点|Season2 第22話 想像を超えた舞台
1995年頃、初めてラスベガスでショーを観た時のことを、今でもよく覚えています。 最初に観たのは、MGMグランドで上演されていた『EFX』でした。 それまでにも、日本でマジックショーを観たことはありましたが、この時、目の前で繰り広げられたマジックは、まったくスケールが違いました。 椅子やテーブルが、空中に浮かんでいく。 「えっ、どうなっているの?」 考えても、まったく分かりません。(笑) まさに、度肝を抜かれた。 ラスベガスで最初に出会ったのは、そんなショーでした。 その数年後、今度は『O』を観ました。 幕が開くと、大きな赤い布が目の前から一気に消えていく。 そして、その向こうに現れたのは、水でした。 「えっ、ここ、プールなの?」 ところが、まだ驚きは続きます。 水面には、人が潜って待っているような気配はありません。 泡も見えない。 それなのに突然、水の中から人が現れる。 「どこにいたの?」 もう、それだけで不思議でした。(笑) 通常のサーカスなら、空中演技を終えた出演者は、下に張られたネットへ飛び降ります。 ところが『O』では、そのネットがない
9月7日


感動をつくる人の原点|Season2 第21話 心を動かされた夜
一時期、ニューヨークへよく行く機会がありました。 その時は、必ず時間を作って、本場ブロードウェイの舞台を観に行っていました。 客席に座ると、どうしても演出家や振付師としての目で観てしまいます。 「この転換、面白いな。」 「この照明、どうなっているんだろう。」 これはもう、職業病のようなものです。(笑) それでも時々、そんなことを考える余裕さえなくなるほど、作品の世界に引き込まれることがありました。 1997年11月頃、まだ開幕して間もないミュージカル『ライオンキング』を観た時も、そうでした。 作品についてほとんど何も知らずに劇場へ入った私は、次々と目の前に現れる光景に、ただ圧倒されました。 客席の通路に現れる、巨大な動物のパペットたち。 劇場を包み込むように響く、生のパーカッション。 それまで見たことのない表現や、独創的な衣装。 一つひとつに驚きながら、私の頭の中にあったのは、 「こんな表現があるんだ!」 という思いでした。 そして終演後。 興奮したまま劇場を出たのですが、その時の私はニューヨークを一人で旅していました。 だから、 この感動を、誰
9月4日


感動をつくる人の原点|Season2 第20話 感動は、積み重ねの先に
前回に続いて、『ワン・マンズ・ドリーム』のお話です。 今回は、あらためて音楽に耳を傾けながら作品を見返してみました。 すると、音楽だけではなく、振付、芝居、衣装、舞台装置、照明、そして「間」。 その一つひとつが、観客の気持ちを次の場面へと導くために、実に細かく計算されていたことに気づきます。 音楽とともに、色が生まれる ショーは、『ワン・マンズ・ドリーム』のテーマソングから始まります。 お城が描かれた幕が開くと、そこに現れるのは、白黒の絵本のような世界。 ミッキーとミニーも、まだ白黒です。 ミッキーがミニーに、小さな色とりどりの花束を渡します。 ミニーがミッキーにキスをする。 すると、音楽が動き始めます。 その音楽に合わせるようにダンサーたちが次々と登場し、白黒だったミッキーとミニーが、一瞬で鮮やかなカラーの姿へと変わります。 周囲のダンサーたちの衣装も、ミッキーとミニーをイメージしたデザイン。 男性は赤いパンツに、黄色い蝶ネクタイとサスペンダー。 女性は赤と白の水玉模様のミニドレスに、黄色い靴。 衣装までが、ミッキーとミニーの世界の一部になっ
9月1日
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