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感動をつくる人の原点|序章②踊りと出会った瞬間
広島県福山市に住んでいた小学1年生の頃、私の家の隣には6年生のお姉ちゃんが住んでいて、そのお姉ちゃんがモダンバレエを習っていました。 私が「バレエを習いたい」と母に言うと、本当はクラシックバレエを習わせたかったようですが、近くに教室がなかったため、そのお姉ちゃんが通っていたモダンバレエの教室に、私も通うことになりました。 それが、踊りとの最初の出会いでした。 たまたま通い始めてすぐに発表会があり、その舞台に参加することになります。 自分が出演するシーンの振付はとても簡単で、たしか ヒヨコ だったと思います。 それはすぐに覚えてしまいました。 そして稽古場では、お姉ちゃんたちのクラスの振付も見て覚えていました。 発表会の日。 お姉ちゃんたちが、舞台で踊っているのを袖の中で見ていた私は、その覚えた振付を一緒に袖の中で踊っていました。 そしてヒヨコの衣装のまま、少しずつ袖の中だけではなく、徐々に徐々に舞台へと出ていってしまったのです。 気づけば、舞台の上で踊っていました。 先生は、慌てて 何度も私を袖の中へ連れ戻しに来ていたようですが、また、すぐ出てい
7月14日


感動をつくる人の原点|序章①最初に出会った音
私が最初に始めた稽古事は、母と一緒に通い始めたピアノでした。 たしか3歳くらいだったと思います。 もしかしたら歌のレッスンもあったのかもしれないけれど、そこは、あまり記憶にありません。 当時住んでいたのは、静岡県浜松市。 社宅の一軒家で、広い庭があって、大きな犬がいました。 名前は、ミッキー。 (後にこの名前に縁を感じることになります。) 向かいの同じ社宅には、音大に通っているお姉さんが住んでいて、まだ私の家にピアノがなかったので、その家にあるグランドピアノで練習させてもらった記憶があります。 でも正直に言うと、その頃から私は、ピアノがそんなに好きではなかったかもしれません。 好きか嫌いかと聞かれたら、たぶん、嫌いだった。 それでも、なぜか続いていました。 父の転勤で、広島県福山市へ引っ越してからも、ピアノは続いていました。 この時に習っていた男性の先生のレッスンは好きで、楽しかったと記憶しています。 教え方が上手だったのかもしれません。 この時期が、唯一ピアノを好きになって、ちゃんと練習した時期だったような気がします。 バイエルの赤、黄色、ブル
7月11日


感動をつくる人たち|第40話 誰もが、誰かの「感動」をつくっている
〜Season1 グランドフィナーレ〜 ※この記事は、2026年5月24日、Season1完結の日にリアルタイムで綴った記録です。 第39話をSeason1の締めくくりとして再構成したため、この第40話は当時の記録として、そのまま残しています。 昨日、第39話でのシーズン1の幕を、この第40話で下すお知らせをさせて頂きました。 早速 LINEやメッセンジャーなどで、たくさんの温かいコメントやメッセージをいただき、本当にありがとうございました。 「まだまだ続けて!」 「こんな話を聞いてみたい!」 そんな言葉に、胸が熱くなっています。 (そして、まだまだ“ これ知りたい! ”は募集中ですので、思いついたらいつでも送ってくださいね!) さて。 本日で、この連載『感動をつくる人たち』も、ついに第40話。 ひとつの節目であり、 Season1のグランドフィナーレを迎えることができました。 4月10日。 TV番組『沸騰ワード10』で放送された宝塚密着ドキュメンタリーを見て、思わず書いた感想から始まったこの連載。 気がつけば40話。 本当にあっという間で
5月24日


感動をつくる人たち|第39話 39(Thank you)——ここまで、本当にありがとう。(サンキュー)——
4月11日から始まった『感動をつくる人たち』。 気がつけば、ここまで39話。 最初は、 「10話くらい続けばいいかな。」 そんな気持ちで始めた連載でした。 でも書き始めると、伝えたいことが次々と溢れてきました。 演出のこと。 舞台裏のこと。 振付、照明、音響、衣装、舞台監督。 本番5分前の空気。 見えない場所で交わされるキャッチボール。 時間管理や予算のことまで。(笑) 気がつけば、ここまで走り続けていました。 この連載を通して、私がずっと伝えたかったこと。 それは、 感動は、決して偶然には生まれない。 誰かの心が動くその裏側には、 必ず、誰かの想いと努力があるということ。 その見えない時間を、ここまで一緒に歩いてくださった皆さんへ。 今日は39。 Thank you. 本当に、ありがとうございました。 そして、この第39話をもって、『感動をつくる人たち』Season1は、ひとまず幕を下ろします。 でも、物語は、まだ続きます。 次に綴るのは、作品が生まれる前の物語。 演出家になるまでの経歴ではなく、 ひとりの少女が、どんな人と出会い、どんな景色を
5月23日


感動をつくる人たち|第38話 指を高く挙げたら、そこがA.M.Jになる
A.M.Jって、実は営業をしていません(笑)。 よく、クライアントさんや周りの方から 「営業マンはいないんですか?」 「料金表はないんですか?」 と聞かれるのですが、そのたびに「いないんです」とお答えするので、とても不思議がられます。 でも、本当にいないのです。 私たちへのお仕事のご依頼は、いつも驚くほど自然な形でやってきます。 ホームページからのお問い合わせだったり、 これまで現場をご一緒した方からのご紹介だったり、 「こんなこと、できませんか?」という一本のお電話だったり。 スタッフからもよく、「料金表だけでもホームページに載せたほうがいいですよ」と言われるのですが、作ろうと思っても、これがなかなか難しい。 なぜなら、エンターテイメントには「定型」がないからです。 毎回、まったく違う。 出演者の人数も、内容も、会場の規模も、求められる空気感も、すべてがゼロベース。 だからある意味、お寿司屋さんの “ 時価 ” に近いのかもしれません(笑)。 まずは、「どんなことをやりたいのか」をご依頼主にじっくりと伺うこと。 そこから、A.M.Jの現場づくり
5月22日


感動をつくる人たち|第37話 通行人役にも人生がある
舞台の稽古場では、演出家が出演者の動き(立ち位置や導線)をつけていきます。 例えば、通行人Aに対してこのような指示が出されることがあります。 「あなたは下手(しもて)から登場して、上手(かみて)から来た通行人Bとすれ違ってください。 そのあとセンターにいるCを誘って、一緒に上手へ捌(は)けてください」 一見すると、非常にシンプルな動きに思えるかもしれません。 しかし、私はこの“ 通行人役 ”も、大切にしています。 「ただ歩く」ことの難しさ ベテランの出演者であれば、その短い時間の中でも自ら空気を作り、演出家の意図を汲み取りながら、自然にその世界を「生きて」くれます。 一方で、経験の浅い新人の場合、「どう動けばいいのか分からない」と、身体が固まってしまうことがあります。 そんな時、私は助け舟としてこんなアドバイスを贈ります。 「自分で、このシーンの台本を書いてみて」 もちろん、本格的な脚本を書くわけではありません。 その役が持つ「背景」を想像してもらうのです。 通行人Aは何歳くらいで、どんな仕事をしているのか? 今日はどこで何をしていたのか? 今か
5月21日


感動をつくる人たち|第36話 演出家と、お弁当の数
「演出家」という仕事に、みなさんはどんなイメージを持たれているでしょうか。 客席の後ろに座り、どっしりと腕を組みながら、 「そこ、もう少し間を取って」 「照明、あと2秒待って」 そんなふうに、舞台の上を鋭く見つめている人——。 たしかに、大規模なプロジェクトであれば、音響、照明、映像、衣装、舞台監督、制作進行……と、各分野の専門スタッフが揃い、演出家が“ 演出 ”だけに集中できる環境もあります。 でも、観客1000人規模くらいまでのイベント現場だと、私たちA.M.Jの場合 少し事情が変わってきます。 気がつくと、演出家がスタッフや出演者のお弁当の数まで把握して、表にしてクライアントに提出している……なんてこともあるのです(笑)。 まぁ 見積もりを作成している段階での話しですけどね。 けれど、スタッフの人数や、出演者の人数を把握していれば自然と数が頭に入りますし、楽屋割りひとつ取っても「誰と誰を同じ部屋にすれば、現場が円滑に回るか」まで考えてしまう。 早替えのある出演者は、袖のどこに配置すれば導線が良いか? ヘアメイクのタイミングは、進行に間に合う
5月20日


感動をつくる人たち|第35話 本番で「100%」を出させない理由
リハーサルでは、出演者が全力でぶつかってこられるよう、演出チームは限界まで彼らを引っ張っていきます。 作品によっては、体力の限界まで挑戦してもらうこともあります。 それは、本番が始まった時に、出演者自身が「力の配分」をコントロールできるようにするためです。 最初から最後まで、ずっとハイテンションのまま走り続けてしまうと、本当に大切な場面で息切れをしてしまう。 そして、パフォーマンスの精度も確実に落ちていきます。 だから私は、本番前になると、いつも出演者にこう伝えます。 「本番では、90%で演技しなさい」 初めて聞いた人は、驚くかもしれません。 「本番なのに、100%じゃなくていいの?」 「むしろ、全部を出し切るべきじゃないの?」と。 でも、長年舞台をつくってきて、私は確信していることがあります。 本当に強い表現者ほど、心の中に「少しだけの冷静さ」を残している。 リハーサルは、挑戦する場所です。 どれだけ失敗してもいい。 間違えてもいい。 一度限界を超えてみないと、自分の本当の可動域は見えてきません。 全力でぶつかって、息が上がって、思い通りに
5月19日


感動をつくる人たち|第34話 緊張と解放が、感動をつくる
— 観客の“ 感情の波 ”をデザインする — ショーが始まる、その瞬間。 私はいつも、最初の「つかみ」をとても大切にしています。 幕が上がった瞬間に目に飛び込んでくる景色。 静寂を切り裂いて流れ始める音楽。 空間を染める照明の色。 衣装の質感とカラー。 そして、そこに立つ出演者たちが放つ空気。 観客は、そのわずか数秒で、無意識のうちに「このショーの世界」に没入していきます。 だからこそ、最初に聴こえてくる音楽は、とても大事です。 その一音で、劇場の空気が一変し、その数秒で、観客の目の輝きが変わっていく。 「これから、一体 何が始まるんだろう」 その期待感を掴めるかどうかで、ショー全体の成否を分けるといっても過言ではありません。 もし最初の数分で心を掴み損ねてしまえば、その後の数時間でそれを取り戻すのは、並大抵のことではないからです。 幕が上がるずっと前から、観客の“ 感情の旅 ”は始まっているのです。 ショーづくりとは、ただ盛り上がる場面をパズルのように並べればいいというわけではありません。 華やかなナンバー。 迫力のあるダンス。 弾けるような笑
5月18日


感動をつくる人たち|第33話 脳内リハーサル室
最近、ダンススタジオの先生方からよく耳にする話があります。 「最近の子たちは、先生が求めている形をその場でコピーできない」 もちろん、今はスマホの時代です。 レッスンの様子を動画に撮り、後から見返して練習できる。 それ自体はとても便利なことです。 けれど、プロの現場では「後で動画を見て覚えます」が通用しない瞬間があります。 例えばオーディション。 短い時間で振り付けが入り、その数分後には音楽に合わせて踊らなければなりません。 そこで求められるのは、“その瞬間に、身体と脳へ焼き付ける力”です。 振付師の形を、一瞬でコピーできること。 手の角度、顔の向き、視線、重心、呼吸、そして音の取り方。 本当に伸びる人は、ただ動きを追うのではなく、先生の身体の中にある「感覚」までをも吸収しようとしています。 実は私自身、現役時代にこの“焼き付ける力”を鍛えるためのイメージトレーニングを編み出しました。 それは、夜、ベッドに横たわり、部屋の明かりをすべて消して無音にすることから始まります。 目を閉じ、頭の中に、練習したいシーンの音楽を流す。 次に、その音楽に
5月17日


感動をつくる人たち|第32話 鳥肌が立つまで、終われない
— エンターテイメントに“正解”はない — エンターテイメントの世界には、 「これが絶対の正解です」というものが、ほとんどありません。 演出も、振付も、音楽も、照明も。 どれだけ経験を積んでも、最後まで迷うことがあります。 むしろ、本気で作品をつくればつくるほど、簡単には決められなくなる。 実は、私の作品づくりの現場では、こんな会話がよく飛び交っています。 「どっちが好き?」 「どっちが気持ちいい?」 もちろん、構成や理論、テンポや展開、技術的な裏付けも大切です。 けれど最後は、理屈では説明できない“ 感覚 ”が、作品の方向を決める瞬間があります。 以前、あるクリスマスショーの音楽制作を、アメリカ・LAのスタジオで行っていた時のことです。 楽曲は、♪ Have Yourself a Merry Little Christmas 演出の構想はこうでした。 最初はカップルが優雅にペアダンスを踊り、途中から、ステージ上のアイススケートリンクへ移動。そこからダイナミックなフィギュアスケートのペア演技へと切り替わっていく。 私は、その切り替わりの瞬間を、最
5月16日


感動をつくる人たち|第31話 ゲネプロで演出家が見ているのは、“ 舞台 ”ではなく“ 空気 ”
舞台やショーの世界には、「ゲネプロ」と呼ばれる時間があります。 衣装、照明、音響、そして客席案内まで。すべてを本番通りに行う最終リハーサルです。 時には関係者やお客様に客席へ入っていただくこともあります。 それは、本番と同じ環境で「会場の呼吸」を感じるためです。 演出家である私は、この時間を客席の中央で過ごすことが多くあります。 なぜ、モニター席ではなくあえて客席に座るのか。 それは舞台そのものを観るためというより、そこに流れる “ 空気 ” を感じるためなのです。 「間」という目に見えない主役 出演者の動きや照明のタイミングを確認するだけなら、後方のモニター席でも事足ります。 けれど、お客様が入った瞬間に会場を包み込む「独特の呼吸」だけは、客席のど真ん中に座らなければ分かりません。 たとえば、稽古場では完璧だと思っていたシーンの繋ぎが、お客様の前では妙に長く感じたり、逆に短すぎたりすることがあります。 ある時のこと。予想以上に長い拍手が沸き起こったシーンがありました。 もし、予定通りに次へ進めていたら、お客様が浸っていたはずの余韻を、無理やり断
5月15日


感動をつくる人たち|第30話 観客と共に織りなすエンターテイメント
フルオーケストラの演奏とともにお届けしていた、クラシックで上質なスペシャルショー。 毎年、バレンタインシーズンになると、私たちは少し特別な企画を用意していました。 それは、事前にお客様から募った大切な人へのメッセージを、ショーの中で紹介するコーナーでした。 「いつもありがとう」 「これからもよろしくね」 「今日、この場所で伝えたいことがあります」 家族へ、友人へ、そして恋人へ。 普段は照れくさくて言えない想いが、美しい音楽とともにステージから会場全体へと紡がれていきます。 時には、人生を賭けたプロポーズのメッセージもありました。 不思議なことに、会場には、冷やかすような空気は一切ありません。 むしろ、見ず知らずの誰かの幸せを、会場にいる全員が心から応援している。 そんな、言葉にできないほど温かな幸せな空気に包まれていました。 拍手が起きるたびに、私は確信していました。 「今、ステージの上だけではなく、客席の皆さんも一緒にこのショーを創り上げているんだ」と。 こうした情緒的な、「ゲスト参加」(Audience participation)もあれば
5月14日


感動をつくる人たち|第29話 スターは、舞台全体で作られている
—宝塚レビューの美学:時代を超えて愛される『スター』の正体 — 私が宝塚のレビューに魅せられた理由。 それは「スター」という理屈を超えた圧倒的な存在にあります。 単に歌が上手い、華がある。そんな言葉だけでは説明しきれない何かが、そこには宿っています。 私が初めて鳳蘭さん(ツレちゃん)の舞台を観たのは、1972年、星組公演『アラベスク』でした。 まだ子どもだった私は、もちろんレビューの構造も、舞台演出の意味も分かっていません。 それでも、舞台の中央に立つその姿から、どうしても目が離せませんでした。 「スターって、こういう人のことを言うんだ」 幼心に、魂を射抜かれたような感覚。 そして後に、私は星組の組子となり、同じ舞台に立たせていただく光栄に預かりました。 舞台袖でも、稽古場でも、そして劇場の空気感そのものの中に、ツレちゃんという特別な光は常に存在していました。 完璧に計算された「ピラミッドの美学」 宝塚のレビューの世界には、スターを輝かせるための完璧な演出が存在します。 ・一糸乱れぬ群舞とフォーメーション。 ・心昂らせる音楽と、ドラマティックな
5月13日


感動をつくる人たち|第28話 “ はじめまして ”だった人たちが、チームになるまで
エンターテイメントの現場では、毎回、同じメンバーが集まるとは限りません。 長年一緒に作品をつくってきた仲間だけの現場もあれば、「はじめまして」の人たちが多く集まる現場もあります。 リハーサル初日、顔寄せの日。 この日は、リハーサルホールの中に独特の緊張感が漂っています。 もちろん、出演者側だった頃の私にとっても、顔寄せは特別な時間でした。 プロデューサーや制作スタッフが全員揃うリハーサルホール。 演出家が語る作品説明をワクワクしながら聞き、先輩や先生方との、少し緊張感のある距離感も好きでした。 台本の読み合わせがあったり、テーマソングの歌稽古があったり、衣装合わせがあったり。 共演者やスタッフのことを、少しずつ探りながら見ていた気がします。 きっと、みんなも同じように感じていたのだと思います。 最初は、苗字で呼び合うことが多い現場も、リハーサルが進むにつれて、少しずつ空気が変わっていきます。 振付を教え合ったり、 ハーモニーを確認し合ったり、 立ち位置を確認し合ったり、 誰かの忘れ物をフォローしたり・・・。 リハーサルのあとに、みんなで食事へ行く
5月12日


感動をつくる人たち|第27話 挑戦したくなる現場には、理由がある
— なぜ“ 修羅場 ”でも、チームは前に進めるのか — 先月の4月11日、ふと思い立って、ずっと手をつけられずにいたブログを書き始めました。 きっかけは、『沸騰ワード10』で観た宝塚の密着ドキュメンタリー。 久しぶりに書いた記事のタイトルは、「夢の扉に向かう、かけがえのない時間」。 その一瞬一瞬に、どんな想いが込められているのか——そんなことを綴りました。 そこから、A.M.Jの制作スタッフメンバーに背中を押されて、どこまで続くかも分からないまま書き始め、気がつけば、「感動をつくる人たち」というテーマが生まれ、序章を経て、第1話から積み重ねてきて……今回で、第27話になりました。 今日で ちょうど、1ヶ月。 続けてこられたのは、支えてくれている仲間たちと、読んでくださっている皆さまのおかげです。 本当に、ありがとうございます。 そして、そんな日々を振り返ってみると—— もしかしたら、私が現場に入ってからのリハーサル中に“ 修羅場 ”をつくっているのかもしれません(笑) ダンサーに、「この振り付け、いろんな方向を向いて踊ってみようか」...
5月11日


感動をつくる人たち|第26話 続いている現場には、理由がある
私は、ロングラン公演に関わる機会が、これまでに何度かありました。 ロングラン公演とは、長い年月、同じ作品が上演され続けるということ。 それは、とても特別なことのように思われるかもしれません。 実際、よくこんな言葉をかけていただきました。 「このショーは、古さを感じないね」 「お客様満足度が、ずっと変わらないのが不思議だね」 とても嬉しい言葉でした。 けれど、つくっている側の感覚としては、何か特別なことをしている、という実感はあまりありませんでした。 むしろ、日々やっていることは、とても地道で、派手さのない積み重ねばかりです。 それでも、ひとつだけ言えることがあります。 長く続いている現場には、やはり“ 理由 ”がある、ということです。 ロングラン作品には、いくつかの共通点があります。 まずひとつは、「古くならない設計」がされていること。 流行に寄せすぎないこと。 その代わりに、人が本能的に心地よいと感じるリズムや、時代が変わっても揺らがないテーマを大切にしていること。 だから、時間が経っても色褪せない。 例えば、世界中で長く上演され続けている『ラ
5月10日


感動をつくる人たち|第25話 人は、任されたときに輝きはじめる
ミュージカルやテーマパークなど、ロングランの現場では、出演者の中から「ラインキャプテン」や「ダンスキャプテン」を任命することがあります。 舞台上でのまとめ役でありながら、舞台監督と出演者をつなぐパイプ役でもあります。 現場の空気を読み、時には間に立って、問題を整理し、解決に向けていく。 だからこそ、技量だけではなく、人としての信頼や信用を得ている人に任命します。 ある年、新しいメンバーが加わり、カンパニー全体が少しずつ変わっていくタイミングがありました。 それまでラインキャプテンを務めていた出演者が退演し、新たにその役割を担う人を決める必要がありました。 候補となるメンバーは何人かいました。 ダンスの技量もあり、人間関係も安定している。 順当にいけば、その中から選ぶのが自然だったと思います。 でも、ひとりだけ、少し気になる存在がいました。 技量はある。周囲との関係も悪くない。 けれど、遅刻があったり、どこかルーズな一面が見える出演者。 ラインキャプテンとして考えるには、少し不安が残る存在でもありました。 その彼に、声をかけました。...
5月9日


感動をつくる人たち|第24話 その一言が、人生を変えることがある
— キャスティングが生む、もう一つの物語 — 舞台袖。 わずかに暗い空間で、出番を待つ時間。 ステージからは、やわらかな光と、お客様のざわめきが、かすかに届いてきます。 その場所で、誰かの言葉を届ける役を任される。 それは、踊ることとはまったく違う、もう一つの“勇気”が必要な仕事です。 あるショーで、お客様から寄せられたメッセージを紹介するコーナーがありました。 友人への感謝、 親から子へ、 子から親へ。 時には、プロポーズの言葉も。 その大切な言葉を、出演しているダンサーの中から選ばれた人が、ステージで届けます。 でも—— ダンサーにとって、“声を出す”ということは、想像以上に高いハードルだったりするのです。 ダンサーは、身体で表現するプロです。 だからこそ、言葉で想いを伝えることに、苦手意識を持つ人も少なくありません。 実際、オーディションの場でも、緊張で声が震えたり、うまく言葉が出てこなかったりすることもあります。 それでも、その役は毎年、オーディションによって選ばれていきます。 ここで大切にしているのは、「上手に話せる人」を選ぶことではあ
5月8日


感動をつくる人たち|第23話 その人でなければならない理由
目に見えない“何か”が、最後の一歩を決める。 「オーディションでは、いちばん上手い人が選ばれる」 そう思われていることが多いかもしれません。 でも現場では、少し違う視点で人を見ています。 “ うまいかどうか ”だけでは、決まらない瞬間があるからです。 もちろん、技術はとても大切です。一定のレベルに達していなければ、作品として成立しません。 けれど実際の現場には、同じように上手い人が、何人も並ぶことがあります。 その中で最後に残るのは、「いちばん上手い人」とは限らないのです。 以前、ポリネシアンダンサーのオーディションを行ったことがあります。 フラとタヒチアン、両方を踊れるダンサーを探していました。 すでに決まっていたメンバーは、ハワイから来日したダンサーたち。 そこに、日本人ダンサーを1名加えることになり、国内のハラウに声をかけて、オーディションを行いました。 技術もしっかりしていて、スタイルも美しい方は、何人もいました。 その中で、ひとりだけ。空気を変えるダンサーがいました。 フラは、手の動きで想いを伝える踊りとも言われます。...
5月7日
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