top of page
検索


感動をつくる人たち|第22話誰に届けたいのかを、考え続ける
第21話では、なぜこの仕事をやめられないのか、という「内側の理由 」について書きました。 では、その感動を、誰に届けたいのか。 この問いには、いつもはっきりとした答えがあるわけではありません。 けれど、作品をつくるたびに、必ずどこかで考えていることでもあります。 子供向けのショーであっても、 いわゆる“ 子供だまし ”のようなものにはしたくない。 大人向けの作品であっても、どこかに、子供でも楽しめる余白を残しておきたい。 大人も、童心に戻れる。 子供も、ちゃんと“ 本物 ”に触れられる。 そんな時間をつくれたらいいと、いつも思っています。 子供の頃、テーマパークで何気なく耳にしていた音楽が、後になって「あれはラグタイムだったんだ」と気づいたり、カントリーウエスタンやラテンのリズムが流れていたことを知る瞬間があります。 そのとき一緒に、あの場所の空気ごと、ふっとよみがえることはありませんか。 子供の頃は、それを特別な音楽だとも意識せずに、ただ空気のように聞き流していたのかもしれません。 けれど、その時間の中にあった楽しさや高揚感は、どこかに静かに
5月6日


感動をつくる人たち|第21話それでも、納得するまでつくり続ける— エンターテイメントという魔法 —
この仕事は、華やかに見えるかもしれません。 でも実際は、何もないところから、何かを生み出し続ける仕事です。 アイデアが浮かばない時間。 答えが見えないまま、探し続ける時間。 正直、しんどいなと思う瞬間もあります。 それは体力でも、人間関係でもなく、 “ 何も生まれない時間 ”の苦しさです。 どれだけ考えても、前に進んでいる気がしない。 時間だけが過ぎていく。 それでも、どこかで思っている。 「他に、なにかあるはず。もっと、もっと、このシーンに合う何かが。」 答えが見えないままでも、探すことだけは、やめない。 納得できないと、前に進めないのです。 何かが違うと感じたまま、形にしてしまうことが、どうしてもできない。 しつこいと言われれば、その通りかもしれません。 でも、その“ しつこさ ”が、最後のひとつを見つけるまで、考え続ける力になっているのだと思います。 ときには、考えすぎて動けなくなることもあります。 まるで、散歩の途中で立ち止まって、どうしても行きたい方向がある犬のように。 動かなくなってしまうけれど、頭の中では、ちゃんと分かっている。..
5月5日


感動をつくる人たち|第20話拍手の届かない場所で、舞台は完成する
本番直前の、あの独特の空気。 ステージ上では、出演者が最後の確認をしている。 音響はきっかけを頭の中でなぞり、照明はわずかな明かりの角度を調整している。 そのすべてが、静かに、でも確実に動いている。 けれど、その光景の中に「名前」はほとんど存在しない。 誰がそれを整えたのか、誰がそのズレに気づいたのか、誰が何も言わずに支えたのか。 観客がそれを知ることは、ほとんどない。 ある現場でのこと。 リハーサル中、ほんのわずかな違和感があった。 言葉にするほどではない、でも確かに引っかかる感覚。 そのとき、ひとりのスタッフが、何も言わずに位置をわずかに調整した。 ほんの数十センチ。光の当たり方が変わり、空気が、すっと整った。 誰も大きく反応はしない。でも、確実に“良くなった”のが分かる。 そういう仕事が、現場にはある。 舞台は、目に見えるものだけでできているわけではない。 むしろ、見えないところで行われている判断や、小さな調整や、言葉にならない気づきの積み重ねが、作品の質を静かに引き上げている。 出演者が輝けるのは、その裏側で支えている人たちがいるから。.
5月4日


感動をつくる人たち|第19話「正確さ」だけでは、心は動かない
舞台から、少しずつ“呼吸”が消えているように感じることがあります。 たとえば、幕の開け閉めひとつをとっても、そこには大きな違いがあります。 かつては、綱元の方が舞台の流れを感じ取り、音楽や空気、出演者の気配に合わせて、タイミングを見計らいながら幕を動かしていました。 ほんのわずかな“間”。 言葉にはならない、その一瞬の判断。 それによって、舞台の空気は生き物のように動いていました。 けれど最近では、音楽やシステムに組み込まれたCUE(キュー)や、SMPTE(シンプティ)と呼ばれるタイムコードによって、すべてが正確に制御されることも増えてきています。 決められたタイミングで、ズレることなく進んでいく舞台。 それは一見、とても合理的で、完成されたもののように見えます。 けれど、ふと感じるのです。 どこか、温度が足りない。 すべてが整っているはずなのに、なぜか心に残らない。 その理由は、とてもシンプルかもしれません。 舞台から、「人の呼吸」が少しずつ減っているから。 もちろん、技術の進化そのものを否定したいわけではありません。 正確さは、安全を守り、
5月3日


感動をつくる人たち|第18話ただ踊るだけじゃない、私が作りたいショー。
ショーには、いろいろな形があります。 歌で魅せるもの。 ダンスで盛り上げるもの。 けれど私は、そこに“物語”があるショーを創りたくなります。 そして、ひとつのジャンルだけにこだわらず、さまざまな表現が出会う作品に惹かれます。。 バレエ、ジャズ、モダンダンス。 新体操、ソシアルダンス、タップダンス。 ヒップホップ、アクロバット、エアリアル。 時には、水中パフォーマンスまで。 本来なら別々の世界にあるものたちが、ひとつの物語の中で交わった時、思いがけない感動が生まれることがあります。 たとえば、海の上で新年を迎えようとした恋人たちが、嵐に巻き込まれ、海底のカウントダウンパーティーへ迷い込むショー。 海の妖精たちは水中で舞い、 地上では情熱的なダンスが広がり、 上空にはエアリアルが広がる。 海・陸・空がひとつになる、そんな作品でした。 またある作品は、少女がアイスクリームの世界へ迷い込み、フレーバーごとに違う音楽とダンスに出会うミュージカルも作りました。 甘く華やかな世界の奥に、家族の愛情や、小さな幸せの大切さを込めた物語です。 私にとってショーとは、
5月2日


感動をつくる人たち|第17話 削ってはいけない予算がある
ショーやイベントの打ち合わせをしていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。 「もう少し予算を抑えられませんか?」 もちろん、それはとても自然なことです。 限られた予算の中で、より良いものをつくりたい。誰もがそう考えます。 私たち制作側も、できる限り工夫します。 演出内容を見直したり、 構成を調整したり、 別の方法を考えたり。 衣装や大道具・小道具のデザインを工夫したり、 素材や仕様を見直したり。 ときには、照明や演出の力で、より魅力的に見せる方法を考えることもあります。 限られた条件の中で、最大限の満足を目指すのも仕事のひとつです。 けれど、現場には削ってはいけない”予算”と”準備”があります。 それは、派手な演出や目立つ装飾とは限りません。 安全確認のための人員。 進行を支えるスタッフ。 事前の打ち合わせ。 リハーサルの時間。 音響や照明の確認作業。 トラブルを防ぐための準備。 お客様の目には見えにくい部分かもしれません。 でも、本番が何事もなく進み、皆さまに心から楽しんでいただけるのは、そうした見えない積み重ねがあるからです。..
5月1日


感動をつくる人たち|第16話限られた時間で、何を優先するか
リハーサルの現場で、最後の最後に足りなくなるもの。 それは才能でも、気合いでもなく、時間です。 どれだけ準備しても、最後には優先順位を決めなければなりません。 そんな現場で、大切な役割を担っているのが、舞台監督チームの存在です。 その中には、搬入から設営、リハーサル、そして本番まで、全体の時間管理を担うスタッフがいます。 ここでは分かりやすく、その役割を「タイムキーパー」と呼びたいと思います。 テレビ番組などで秒単位の進行を見る役割とは少し違い、イベントやショーの現場での、一日の流れそのものを管理する仕事の役割のことです。 搬入開始の時間。舞台・音響・照明・映像・特殊効果・衣装・楽器 それぞれの仕込み時間。出演者入り、サウンドチェック、場当たり、通し稽古、ドレスリハーサル。そして、絶対に動かすことのできない本番の開演時間。 そのすべてを見ながら、現場を前へ進めていきます。 この役割を担う人は、ショーの内容を深く理解していなければ務まりません。 どのシーンに時間をかけるべきか。どこは調整が可能で、どこは絶対に削れないのか。時間が足りないからと、安易
4月30日


感動をつくる人たち|第15話 一流の現場ほど、声を荒げる人がいない
舞台やイベントの現場というと、慌ただしく、大きな声が飛び交う世界を想像される方もいるかもしれません。 けれど、私が長年感じてきたことがあります。 本当にうまくいく現場ほど、不思議なくらい穏やかです。 誰かが怒鳴ることもなく、必要以上に慌てる人もいない。 その代わり、みんなが静かに、自分の役割をきちんと果たしています。 次に何が必要かを考え、先を読みながら動く人。 確認が必要なことは、きちんと質問し、共有する人。 誰かに言われる前に、今できることを見つけて動く人。 そんな一人ひとりの積み重ねが、現場の空気を整えていきます。 穏やかな現場とは、緩い現場ではありません。 むしろその逆です。 それぞれが責任を持ち、集中し、信頼し合っているからこそ、無駄な緊張や混乱が生まれないのです。 A.M.Jの現場も、いつも穏やかです。 それは、支えてくれる仲間たちが、自分の仕事に誇りを持ち、周りを見ながら動いてくれているからだと思います。 華やかな舞台の裏側には、声を荒げる必要のない、本当のプロたちがいます。 私はそんな仲間たちに、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
4月29日


感動をつくる人たち|第14話 振付は、出演者を輝かせるためにある
振付師というと、 ダンスを作る人、ステップを考える人。 そんなイメージを持たれる方も多いかもしれません。 もちろん、それが最大の使命です。 けれど、現場で求められる役割は、実はそれだけではありません。 楽曲を魅力的に見せる振り付け。 物語の登場人物に命を吹き込む振り付け。 イベントやショーの中で、会場全体の空気を動かす振り付け。 振付師という仕事も、現場によって求められる力は、大きく変わります。 私たちA.M.Jチームの現場では、企画段階から振付師が関わることも少なくありません。 テーマは何か。 どんな音楽で魅せるのか。 どんな客層なのか。 出演者の人数はどうするか。 衣装のデザインをどうするか。 髪型はどうするか。 小道具はどうするか。 どんな感動を届けたいのか。 そんな制作の入口から参加し、まだ形のない作品を、少しずつ見えるものへと変えていきます。 そして振付師の大切な仕事のひとつが、演出家の頭の中にある構想を、具現化することです。 まだ誰にも見えていない景色。言葉になりきっていないイメージ。 その想いを、動きとして最初に形にしていく。...
4月28日


感動をつくる人たち|第13話 音楽がつくる、ライブショーの物語
ミュージカルでは、幕が上がる前に、 オーケストラピットからオーバーチュアが流れることがあります。 劇中に登場する主要なメロディーが、ひと足先にメドレーとなって響きはじめる。 それは、ただの前奏ではありません。 プロローグは、物語の扉です。 その音を聴きながら、観客の心は少しずつ舞台へ向かっていきます。 これから何が始まるのだろう。 どんな景色に出会えるのだろう。 期待が高まり、胸が弾み、やがて幕は静かに上がる。 もうそこは、日常ではなく、物語の世界です。 テーマパークのパレードやライブショーでも、最初に流れるオープニングの音楽があります。 その数秒で、空気は変わります。 足を止める人。 笑顔になる人。 子どもたちの目が輝く。 音楽には、人をその世界へ案内する力があるのです。 そして音楽は、感情をそっと助けてくれます。 たとえば映画でも、何か危険が近づく場面になると、まだ何も起きていないのに、 心がざわつくことがあります。 低く響く音。不穏なリズム。少しずつ高まっていく緊張感。 人は映像の中で、音楽からも物語を感じ取っているのかもしれません。...
4月27日


感動をつくる人たち|第12話 たった30分に、感動を詰め込む難しさ
テーマパークのライブショーは、 多くの場合、20分〜30分ほどで上演されます。 それには理由があります。 劇場へ足を運び、ひとつの作品をじっくり観る時間とは少し違い、パーク内には、アトラクションやアトモスフィア、食事や買い物など、一日を通して楽しめる魅力が、数多くあふれています。 そのさまざまな時間の中で、ショーもまた、心に残るひとつの体験として存在しているからです。 もちろん、ショーを目的に来られるお客様もいらっしゃいます。 何度訪れても、何度観ても、また楽しい。 それは、絶対に必要なことです。 けれど同時に、その日初めて観て、もしかすると二度と観ることができないお客様もいます。 地方から旅行で来られた方。 たまたま通りかかって足を止めてくださった方。 そんな方にも、楽しかった。 元気をもらえた。 勇気が湧いた。 また来たいと思えた。 そんな何かを持ち帰っていただきたいと、演出家は考えます。 だから、短いショーには起承転結が必要になります。 始まってすぐに心をつかみ、 飽きさせず、 流れをつくり、 驚きや笑顔を生み、 そしてラストの数分で、心
4月26日


感動をつくる人たち|第11話 舞台は、見えない人に守られている
舞台が何事もなく終わること。 それは、当たり前のようでいて、決して当たり前ではありません。 客席から見えるのは、華やかな照明、音楽、笑顔、そして拍手。 けれど、その舞台の裏側では、たくさんの人たちが“何も起こらない本番”を守っています。 舞台監督、音響、照明、映像、衣裳、進行スタッフ。 それぞれが持ち場で目を配り、耳を澄ませ、次の瞬間を想定しながら動いています。 以前、舞台稽古中に、ステージ上から思いがけない落下物があったことがありました。 その時、近くにいた舞台監督が、とっさに出演者をかばい、守ってくれたことがあります。 大きく語られることはない出来事かもしれません。 けれど、あの一瞬の判断には、現場を預かる人の責任と覚悟がありました。 舞台には、拍手の届かない場所で、こうして人を守っている人たちがいます。 そして、守っているのは本番だけではありません。 リハーサルもまた、舞台を守るための大切な時間です。 私は、出演者がリハーサルで失敗しても、怒ることはほとんどありません。 なぜなら、リハーサルでは、いくらでも間違えていいと思っているからです。
4月25日


感動をつくる人たち|第10話 主役ではない人が、舞台を支えている
舞台が始まれば、客席の視線は自然と主役へ集まります。 スポットライトを浴び、拍手を受け、物語の中心に立つ人たち。 それは、とても美しい瞬間です。 けれど私は、その輝きの奥にいる人たちに、いつも感謝しています。 たとえば、舞台袖で行われる “早替わり” 出演者がステージを降りてきた瞬間、次の衣装は準備されていて、数十秒のうちに着替えを終わらせ、次の出番へ送り出す。 そこでは、言葉より先に手が動きます。 衣装を外し、整え、靴を履かせ、飾りを直し、呼吸を整える。 もしファスナーが壊れて脱げなくなったら――衣装スタッフは迷いません。 衣装を破ってでも、次の出番に間に合わせる。 それほどまでに、舞台を止めない覚悟で立っています。 早替わりは、出演者にとっても独特の緊張があります。 私自身、早替わりの多いレビューショーに出演していた頃、ステージの上で踊っている時の方が、ほっとしていたことがありました。 それほど、舞台袖の数十秒には濃い緊張感があります。 元出演者の中には、引退したあとでも、「早替わりに間に合わず、出遅れした夢を見る」そんな話を耳にすることさえ
4月24日


感動をつくる人たち|第9話揃えるだけでは、舞台は完成しない
何百回とリハーサルを重ねた舞台でも、 本番が毎回 同じになることはありません。 客席の空気。 出演者の呼吸。 その日の緊張感、 その瞬間の熱量。 すべてが、その日、その回だけのものです。 もちろん、舞台には “揃える美しさ” があります。 上げた手の高さ。 足を出す角度。 目線の高さや向き。 列のライン。 一糸乱れぬ群舞が生む迫力は、舞台ならではの魅力です。 けれど、揃えることだけを守りすぎた舞台は、どこか息苦しくなることがあります。 完璧なのに、なぜか 心が動かない。 完璧なのに、なぜか つまらない。 そんな悩みを持つことはありませんか? ダンスを揃えるために、私たちはさまざまな工夫をします。 ただ「1、2、3、4、5、6、7、8」と数えるだけではありません。 音楽の流れや、メロディーの“タメ”に合わせて、 「1、2 , 3 and4」「5、6 、7 and 8and 1・・・」 そんなふうに、独特のカウントで、声を出しながら合わせることがあります。 カウントを数えているようでいて、本当は呼吸を合わせているのです。...
4月23日


感動をつくる人たち |第8話 計算された一秒が、舞台に命を吹き込む
会場が一斉に拍手に包まれる瞬間があります。 まるで自然に起きたように見える、その空気。 でも実は、その拍手には“きっかけ”があります。 音楽が高まり、エンディングへ向かって駆け上がる。 ムービングライトが大きく広がり、最後のポーズを照らし出す。 演者の動きも、音楽も、照明も、そして観客の気持ちまでもが、ひとつの頂点へと重なっていく――。 その最高の瞬間は、実は丁寧に作られているのです。 たとえば、テーマパークで上演されるショーの多くは、録音された音楽データに合わせて進行します。 約20分から30分という限られた時間の中で、ひとつの物語を届けていきます。 楽しい場面があり、驚きがあり、胸が高鳴るリズムがあり、心が温まる場面がある。 そして最後には、大きな拍手に包まれる。 その流れには、きちんと起承転結があります。 シーンとシーンの間を何秒あけるのか。 次の登場人物を、どの音で、どんなタイミングで現すのか。 照明を一瞬落として期待感を高めるのか。 それとも間髪入れずに次へ進み、勢いを生むのか。 観客の視線が、最も大切な瞬間を見逃さないよ
4月22日


感動をつくる人たち|第7話 同じ舞台は、二度と観られない
幕が上がれば、昨日と同じように音楽が流れ、 昨日と同じように照明が灯る。 けれど、その日が昨日と同じ舞台になることは、決してありません。 舞台は、一秒たりとも同じ『時』はないのです。 それは、ステージの上も。客席も。舞台袖も。その場に流れる空気も。すべてが、その日、その瞬間だけのものです。 ライブの世界には、映像のようにやり直しがありません。 一度始まれば、時間は止まらず、その瞬間瞬間が積み重なって、本番は進んでいきます。 だからこそ、そこには独特の緊張感があります。 たとえ同じ演目を毎日続けていたとしても、同じ舞台になることはありません。 出演者の呼吸。 客席の反応。 笑い声の大きさ。 拍手の温度。 その日の体調や気持ち。 ほんのわずかな違いが重なり合い、毎回まったく違う舞台をつくり出していきます。 だからこそ、お客様は何度も劇場へ足を運んでくださるのだと思います。 「今日はどんな空気になるのだろう」 「前回とは、何か違うかもしれない」 そんな期待もまた、ライブの魅力のひとつです。 そして、それは演じる側にとっても同じです。 一回一回の公演には
4月22日


感動をつくる人たち|第6話本番こそ、もうひとつのキャッチボールが始まる
舞台やイベントは、幕が開くその瞬間に始まるわけではありません。 会場との打ち合わせが始まったその日から、もうひとつの大切なキャッチボールは、すでに動き出しています。 それは、運営スタッフとのキャッチボールです。 会場の導線確認。搬入時間の調整。舞台・音響・照明・映像・衣装に関わる準備と設置計画。出演者の入り時間。リハーサルの進行。安全面への配慮。 本番当日を滞りなく迎えるために、見えない場所では数えきれないほどの準備が積み重ねられています。 A.M.Jの運営チームにも、いつも大きな力を貸してくれる仲間たちがいます。 ステージマネージャーとして、会場との細やかな調整を行い、舞台・音響・照明・映像・衣装など、作品に関わるすべての準備、機材搬入から設置、テクニカルリハーサルまでを支えてくれる人たち。 そして、本番当日のタイムスケジュールに合わせ、出演者を含めた全体リハーサルを進めながら、細かな部分にまで目を配り、必要な確認や提案を重ねてくれる。 そのひとつひとつのキャッチボールに、私は何度も助けられてきました。 作品をより良く魅せるために。本番をより安
4月20日


感動をつくる人たち |第5話 キャッチボールの中で、作品は育っていく
舞台やイベントは、ひとりでつくるものではありません。 どれほど強い想いがあっても、頭の中にあるイメージだけでは、まだ小さな“種”のままです。その種に水を与え、芽を出し、形にしていくもの。 それが、仲間たちとのキャッチボールです。 まず最初に始まるのは、音楽とのキャッチボール。 イベントのテーマや世界観が決まると、私はその象徴となるテーマソングをつくることが多くあります。 オープニングで幕を開ける一曲。レビューショーでは、場面転換やシーンのつなぎとして流れ、フィナーレやPlay Off、チェイサーとして、再び姿を変えて現れる。 最初に生まれたメロディーが、最後まで作品全体を包み込む。そんな“ブックエンド”のような存在になることも少なくありません。 だからこそ、その一曲はとても大切です。 作曲家にイメージを伝え、曲が生まれ、そこに言葉を乗せ、デモ音源をヴォーカリストに歌ってもらう。そのたびに、何度も何度もキャッチボールが続きます。 次に始まるのは、振付師とのキャッチボールです。 私はもともとパフォーマーであり、演出家として、そして振付師として、これま
4月19日


感動をつくる人たち(特別編)あの日、傷ついた少女は、小学校の先生になっていた
今年、震災から15年という節目の年を迎え、私は、あるご家族のことを思い出しました。 15年前、日本を襲った未曾有の震災。 その痛みの中で、心に深い傷を負った少女がいました。 ご家族は、少しでも笑顔を取り戻してほしいと願い、彼女を夢あふれるあの場所へ連れて来られたのです。 その頃、私は期間限定のショーに携わっていました。客席と舞台がひとつになる、あたたかな時間のある作品でした。 その日、ご家族が寄せてくださったメッセージを、偶然にもステージの中で紹介することになりました。 それは、ほんのひと場面にすぎませんでした。 けれど、その出来事がきっかけとなり、ご家族とメールでやり取りをするようになり、毎年のように足を運んでくださるようになりました。 被災地から決して近い距離ではありません。 宿泊をしながら時間をかけて、何度もショーを観にいらしてくださいました。 私は、少女の心の中に何が起きていたのか、本当のところを知ることはできません。 けれど、あの日、オーケストラが奏でる演奏。美しい歌声。心を揺さぶるダンス。 舞台の上から届けられたたくさんの夢や希望が、
4月18日


感動をつくる人たち|第4話 本番5分前、それぞれの時間が動き出す
華やかな舞台やイベント。その幕が上がる、ほんの5分前。 会場には、お客様の期待が少しずつ満ちていきます。 ざわめき、笑顔、開演を待つ空気。 まだ幕は開いていないのに、もう物語は始まっているようです。 そして舞台裏では、それぞれの時間が静かに動き出します。 出演者は、衣装を整え、呼吸を整え、気持ちを舞台へ向ける。 音響スタッフは、最初の一音に神経を集中させる。 照明スタッフは、最初の一筋の光に想いを込める。 舞台監督は、全体の流れを見つめながら、開演の瞬間を待つ。 誰か一人が目立つ時間ではありません。 それぞれが、自分の持ち場で、自分の役割に責任を持ち、最高の一瞬のために集中している時間です。 私自身はというと、客席の空気を感じながら座っていることもあれば、音響や照明の卓の近くで全体を見守っていることもあります。 ここまで来たら、演出家としてできる準備は、もう終わっています。 昔、まだ駆け出しの頃、思ったことがあります。 自分がステージに立つ時より、客席で本番を見守る方が、ずっと緊張する。 それほど、本番には、たくさんの人の想いが詰まっています。.
4月17日
bottom of page
